奥多摩とは
奥多摩町は東京都の最西端にあり、都内でいちばん面積の広い自治体です。町のほとんどが森で、秩父多摩甲斐国立公園に含まれます。西の端には都内最高峰の雲取山(2,017m)がそびえ、標高343mの奥多摩駅は、ケーブルカーを除けば都内でいちばん高い場所にある駅です。多摩川はこの山々から流れ出し、東京湾まで続いています。
町の上流には1957年に完成した小河内ダムがあり、都民の水がめである奥多摩湖をせき止めています。旅行者にとっての「奥多摩」は、御岳あたりから渓谷を抜けて奥多摩駅まで続く青梅線の終盤と、その先のバスで入る谷々のこと。御岳や澤乃井の酒蔵は正しくは隣の青梅市ですが、同じ旅で回る場所です。
アクセス:青梅線と青梅駅での乗り換え
新宿からはJR中央線で立川へ、青梅線で青梅駅へ向かいます。中央線には青梅まで直通する電車も多く、立川での乗り換えが要らないこともあります。青梅から奥多摩までは別系統の電車になるため、ほぼ必ず青梅で乗り換えます。土休日は「ホリデー快速おくたま」が東京・新宿から青梅まで走り、奥多摩行きに接続します。新宿から約2時間を見ておきましょう。
中央線の電車には2階建てのグリーン車(有料)が青梅まで連結されています。SuicaやPASMOで全区間乗れます。青梅から奥多摩までは1時間に1本から3本ほどなので、帰りの時刻を先に確かめておくと安心です。奥多摩駅からは、奥多摩湖まで約15分、日原方面へ約30分のバスが出ていますが、こちらも本数は多くありません。
- 冬の平日には、線路工事のため青梅から奥多摩の間が昼間運休になる日があります(2026年12月、2027年1月など)。
- 駅前には飲食店や商店が少しありますが、谷の奥にはほとんどありません。飲み物と軽食、バスや小さな店で使う現金を持っていきましょう。
見どころ:渓谷、湖、鍾乳洞、山上の神社
鳩ノ巣駅から歩いて5分ほどの鳩ノ巣渓谷は、約500mにわたって巨岩と岩壁が続き、小さな吊り橋の下を緑色の流れが走る、奥多摩でも屈指の紅葉の名所です。川沿いの道は大多摩ウォーキングトレイルの一部で、奥多摩駅方面へ続いています。白丸ダムの堰堤は工事のため2027年2月下旬ごろまで通れませんが、トレイル自体は歩けます。
奥多摩湖へは奥多摩駅からバスですぐ。「奥多摩湖」で降りてダムの上を歩き、ダムと湖に沈んだ村を紹介する無料の奥多摩 水と緑のふれあい館に立ち寄りましょう。湖岸をさらに進むと浮橋があり、水位が下がると通行止めになります。水道専用の貯水池なので、ボートや遊泳はできません。湖のまわりは桜の名所です。
細い谷を上った先の日原鍾乳洞は、総延長約1,270m、高低差134mの都指定天然記念物です。土休日はバスが手前の東日原止まりになることが多く、そこから徒歩約20分。料金は現金のみです。線路を戻って御嶽駅からバスで滝本駅へ行くと、御岳登山鉄道のケーブルカーが標高407mから831mまで約6分で上ります。山上駅から宿坊の並ぶ集落を歩いて登れば武蔵御嶽神社。「おいぬ様」と呼ばれる大口真神を守り神とするため犬連れの参拝客が多く、ケーブルカーにも犬はケージなしで乗れます。山の裏側には、苔むした沢沿いを歩くロックガーデンがあり、神社から歩く定番のコースです。
- 御嶽駅の下には御岳渓谷の遊歩道があり、玉堂美術館の前を通って多摩川沿いを平らに歩けます。
- 春から秋は、御岳周辺の多摩川でラフティングやキャニオニングのガイド付きツアーを開く会社がいくつもあります。
酒蔵、季節、奥多摩の一年
沢井駅から歩いて3分の小澤酒造は、1702年から裏山の水で「澤乃井」を造ってきた酒蔵です。酒蔵見学は約40分の予約制で、日本語のみ(英語のパンフレットあり)、月曜は休み。見学しなくても、川沿いの澤乃井園で過ごしたり、きき酒処で飲み比べたりできます。毎年秋には新酒を祝う蔵開きが開かれます。
4月の奥多摩湖周辺は、都心より遅れて桜が咲きます。武蔵御嶽神社では、もっとも格式の高い日の出祭が4月29日(前日に宵宮)、夕闇の中で行う流鏑馬が9月29日です。夏の谷は都心より数度涼しく、8月上旬には奥多摩駅のすぐそばの愛宕山から奥多摩納涼花火大会が上がります。紅葉は湖や標高の高い谷から始まり、11月に駅近くの渓谷へ下りてきます。1月3日には鹿の骨で一年の作物の出来を占う太占祭が行われ、結果が発表されます。
山歩きの安全とクマ
道は平らな川沿いの遊歩道から長い尾根道までさまざまで、2019年の台風被害で今も通行止めの道があります。駅から歩いてすぐの奥多摩ビジターセンターの登山道・道路状況一覧を確認し、わからないことは窓口で相談しましょう。秋冬は日が短く、谷は早く暗くなります。
奥多摩にはツキノワグマがすみ、目撃は例年5月から11月に多く寄せられます。2026年5月には、六ツ石山近くの石尾根で熊鈴を持たない単独の登山者が襲われ、尾根の登山道がいくつか数週間閉鎖されたのち、6月と7月に解除されました。町は注意喚起で、単独行を避ける、鈴やラジオを持つ、食べ物やごみを残さない、出会ったら走らず、クマから目を離さずにゆっくり離れる、と呼びかけています。東京都は目撃情報も公開しています。
- 早めに歩き始め、暗くなるよりかなり前に下山する計画にしましょう。
- 歩きやすい靴で。やさしい渓谷の道にも木の根、濡れた岩、段差があります。
- サルやシカなど野生動物への餌付けは厳禁です。クマも含め、動物を人里に近づける原因になります。