ラベルの読み方
日本酒は米、米麹、水から造る醸造酒で、アルコール度数は15度前後が一般的です。「純米」とあれば、それ以外は何も加えていないという意味。本醸造のように純米の表示がないお酒は醸造アルコールを少し加えたもので、たいてい軽くて香りが立ち、質が劣るわけではありません。
もうひとつ大事なのが精米歩合。玄米を削って残った割合のことで、吟醸は60%以下、大吟醸は50%以下と決まっていて、華やかで繊細な味わいになります。純米吟醸、純米大吟醸は同じ等級で醸造アルコールを加えないものです。ほかに覚えておきたいのは、火入れをしない生酒(フレッシュでみずみずしい)、にごり酒(白く濁り、ほのかに甘い)、加水しない原酒(度数が高め)。日本酒度はおおまかな目安で、数字が高いほど辛口になる傾向があります。
- 迷ったら「辛口ですか、甘口ですか」と聞けば、お店の人がすぐ教えてくれます。
- 生酒は要冷蔵。買うのは最後にして、暑い日に持ち歩かないようにしましょう。
冷酒か燗か、日本酒の一年
どちらも正解で、お酒によって変わります。香りの華やかな吟醸は冷酒で香りをすっきりと。味わいのしっかりした純米や本醸造は、ぬる燗や熱燗にするとおいしくなることが多く、冬の夜の熱燗は東京のささやかな楽しみです。「冷や」は本来、常温のこと。迷ったらそのお酒に合う温度をお店に聞いてみましょう。
酒場では一合(約180ml)ずつ、徳利とおちょこで、あるいは升に入れたグラスにあふれるまで注ぐ「もっきり」で頼みます。お互いに注ぎ合うのが礼儀です。日本酒には季節もあります。冬から春は新酒の時期で、酒蔵の軒先には緑の杉玉が吊るされ、熟成とともに茶色に変わっていきます。秋はひと夏寝かせて涼しくなってから出荷される「ひやおろし」。10月1日は日本酒の日で、酒場や酒屋がさまざまな企画をします。
東京の日本酒フェアと試飲イベント
いちばん大きな恒例行事は、日本酒造組合中央会が主催する「日本酒フェア」です。例年6月ごろ、多くの年は東京で開かれ、2026年は池袋のサンシャインシティが会場でした。全国の蔵元が集まり、全国新酒鑑評会の入賞酒を味わえる公開きき酒会も行われます。チケットは前売りで、会場では小さなグラスを持って回ります。
ほかにも一年を通して、各県の酒造組合が都内のホテルや会場で試飲会を開き、デパートでは地酒フェアで試飲ができ、酒場では蔵元が自ら注ぐ蔵元イベントがあります。下の一覧には日本酒、クラフトビール、ウイスキーのイベントを発表され次第まとめていて、どれも公式ページにつながっています。
- 試飲の合間には和らぎ水を。水を配っているフェアも多いです。
- 空腹で行かず、たくさん試すなら吐器も遠慮なく使いましょう。
- お酒のイベントでは年齢確認があることも。飲酒は20歳からです。
都内で日本酒を飲むなら
いろいろ試すなら立ち飲みがいちばん手ごろ。新橋や上野など、仕事帰りに一、二杯ひっかける人が多い駅のまわりに集まっています。さらに昔ながらのかたちが角打ちで、酒屋の店内、冷蔵庫の横のカウンターなどで飲ませてくれます。冷蔵庫から自分で好きなだけ注げる、時間制の飲み比べ型の店もあります。
落ち着いて安く入門するなら、日本酒造組合中央会が西新橋(虎ノ門駅の近く)で運営する「日本の酒情報館」へ。入れ替わる銘柄を一杯から試飲でき、日本酒造りの展示もあります。土日祝日は休みなので平日に計画を。デパ地下の酒売り場では持ち帰る一本を相談でき、居酒屋の黒板にも季節のお酒が並んでいることがよくあります。
見学できる酒蔵と、日本酒以外のお酒
東京の西部には今も酒蔵があります。「澤乃井」の小澤酒造は青梅市にあり、JR青梅線の沢井駅から歩いて5分ほど。奥多摩へ向かう多摩川の渓谷沿いです。蔵は元禄年間、1700年ごろの創業にさかのぼり、見学は予約制で、月曜日は休みです。道の向かいには試飲ができる川沿いの庭園があります。福生市の石川酒造は1863年創業で、日本酒「多満自慢」とビール「多摩の恵」を造っており、拝島駅から歩いて20分ほど。英語ガイドの見学ツアーを5日前までの予約で受け付け、敷地内にレストランがあります。見学ツアーは火曜日が休みです。
日本酒以外では、焼酎はさつまいも、麦、米、黒糖などから造る蒸留酒で、ロック、水割り、サワーで飲まれます。泡盛は黒麹で造る沖縄の米の蒸留酒です。クラフトビールは1994年に小規模醸造の規制が緩和されてから広がり、都内には各地のビールを樽で並べるタップルームがたくさんあります。ウイスキーはどの居酒屋でもハイボールで気軽に、銀座や新宿の静かなバーでは希少なボトルを一杯から楽しめます。
- 沢井は多摩川沿いの散策と組み合わせるのがおすすめ。夏は緑が涼しく、秋は紅葉がきれいです。
- 週末の酒蔵見学は早めに予約を。車で行くのはやめましょう。
- 青梅駅から奥多摩駅の間は、平日の日中に工事でJR青梅線が運休する日があります。出かける前にJR東日本か酒蔵のお知らせを確認しましょう。