富士山が見える時期と、東京から見る方法
富士山は標高3,776m、日本一高い山で、山梨県と静岡県にまたがる活火山です。最後の噴火は1707年。信仰の対象、芸術の源として、2013年に世界文化遺産に登録されました。山頂の雪は例年秋に積もり始め、春まで残ります。
問題は見えるかどうかです。富士山がよく見えるのは空気が乾いて澄む寒い時期、おおむね11月から2月で、時間帯は早朝と夕方。夏はかすみや雲で、ふもとにいても何日も見えないことがあり、晴れた日でも昼ごろには雲がかかりがちです。
東京から見るなら、高い場所と晴れた冬の朝が条件です。新宿の東京都庁の無料展望室、東京スカイツリー、高尾山の山頂からは西の方角に見えます。東海道新幹線で大阪方面へ向かうときは右側の席へ。東京を出て40〜45分ほど、新富士駅のあたりがいちばんよく見えます。
- 前の晩に富士五湖のライブカメラや天気予報を確認しましょう。東京が晴れていても、富士山が見えるとは限りません。
河口湖、富士五湖、新倉山浅間公園
富士五湖は山梨県側、富士山の北のふもとに並んでいます。いちばん行きやすいのが河口湖で、東側に温泉街があり、富士山がよく見えるのは北岸。紅葉の並木が続く「もみじ回廊」もこちらです。河口湖畔からは「富士山パノラマロープウェイ」で小さな山の上に上がれます。西湖、精進湖、本栖湖、山中湖は静かで、河口湖と山中湖の間には湧水の池が並ぶ忍野八海があります。
五重塔と富士山を一枚に収める定番の写真は、富士吉田市の新倉山浅間公園にある忠霊塔です。1962年に完成した塔で、新倉富士浅間神社から石段を400段ほど上った場所にあります。神社は富士急行線の下吉田駅から歩いて約10分。公園はいつでも無料で入れます。
湖のまわりの季節は、4月中旬ごろの桜(忠霊塔や河口湖畔が定番)、春の本栖湖近くの芝桜、夏の避暑、11月前半の紅葉。8月下旬には富士吉田で「吉田の火祭り」があり、大通りに並ぶ大きな松明が登山シーズンの終わりを告げます。冬は空気がもっとも澄み、朝はとても冷え込みます。
混雑と撮影のマナー
富士山の撮影スポットの中には、地元が受け入れきれないほど人が集まる場所があります。富士吉田市や富士河口湖町では、車道に立つ、私有地に入る、ごみを捨てるといった問題が起き、特に桜と紅葉の季節の忠霊塔で目立ちます。富士吉田市は住民生活への影響を理由に、2026年の新倉山浅間公園桜まつりを開催しないと決めました(公園自体は開いていました)。2024年5月には富士河口湖町が、SNSで富士山の眺めが話題になったコンビニ近くの歩道に大きな黒い幕を設置しました。住民や近くの事業所からの苦情を受けた対応です。
行かないほうがいいという話ではありません。撮影は撮影のための場所からにして、歩道から出ず、塀に上ったり敷地に入ったりせず、写真のために店の出入口や車の流れをふさがないようにしましょう。
- 忠霊塔は日の出のころか平日に。4月中旬と11月上旬の週末は、展望デッキに長い列ができます。
- ごみは持ち帰りましょう。撮影スポットの周辺にはごみ箱がほとんどありません。
東京からの行き方、日帰りか一泊か
いちばん簡単なのは高速バスです。バスタ新宿から河口湖駅まで1時間に2本ほど、2時間弱で、多くは途中で富士急ハイランドと富士山駅に停まります。東京駅や渋谷からのバスもあります。混む時期の週末は満席になるので、ネットで座席を予約しておきましょう。
電車なら、新宿からJR中央線で大月へ行き、富士急行線に乗り換えて河口湖へ。忠霊塔の最寄りの下吉田駅にも停まります。新宿から河口湖まで乗り換えなしで約2時間の特急「富士回遊」も1日に数本あり、座席指定です。ジャパン・レール・パスが使えるのは大月までのJR区間だけで、富士急行線は別料金です。
湖の周辺では、河口湖駅から周遊バスが河口湖の東岸と北岸を回り、西湖などほかの湖へも走っています。河口湖と忠霊塔だけなら、朝早く東京を出れば日帰りで十分。それ以上回りたいときや、晴れた朝に出会える確率を上げたいときは、湖畔の温泉宿に一泊を。山の反対側の箱根も、芦ノ湖越しに富士山を見る定番の場所です。
- 行きは早いバスか電車で。富士山がいちばん見えやすい時間に着けます。
- 混む週末は、バスの座席と特急券を先に買っておきましょう。どちらも売り切れることがあります。
富士登山:シーズン、ルール、持ち物
富士山に登れるのは夏だけです。2026年は吉田ルートと須走ルートが7月1日、富士宮ルートと御殿場ルートが7月10日に開通し、4ルートとも9月10日に閉まりました。登山者の多くは山梨県側、富士スバルライン五合目から吉田ルートを登ります。五合目へは河口湖からバスが出ています。シーズン中の多くの期間、ほとんどの五合目への道路でマイカー規制があるので、バスで行く前提で計画を。
ここ数年でルールは厳しくなりました。2026年現在、どのルートも五合目から登る人は1人4,000円の入山料(登山料)を払います。吉田ルートでは五合目のゲートが14時から翌3時まで、山小屋の予約がない人には閉じられ、1日の登山者が4,000人に達した時点でも閉鎖されます。通行はネットで事前に予約・支払いができます。静岡県側の3ルートでは県のアプリ「静岡県 FUJI NAVI」で事前登録し、ルールと安全についての短いeラーニングを受けます。14時から翌3時の入山には、こちらも山小屋の宿泊が必要です。ルールは毎年見直されるので、次のシーズン前に富士登山オフィシャルサイトを確認してください。
目的は、休まず夜通し山頂を目指す「弾丸登山」をなくすこと。高山病や疲労の多くはこれが原因です。山小屋を予約し、ゆっくり登って、山頂近くで日の出を迎えましょう。持ち物は防寒着(8月でも山頂は氷点下近くになることがあります)、上下に分かれた雨具、登山靴、ヘッドランプ、水、行動食、有料トイレや山小屋で使う小銭。シーズン外は五合目より上の登山道が閉鎖され、山小屋も救護所も閉まり、携帯もつながりにくく、天気が急変します。登らないでください。
- 防寒着、雨具、登山靴がないと、指導員に登山を止められることがあります。東京が35度でも必ず持参を。
- シーズン外でも、道路が開いていれば五合目は眺めのいい場所です。行くのはそこまでに。