銭湯、温泉、スーパー銭湯のちがい
銭湯は、家に風呂がない時代のために生まれた町の公衆浴場です。都内の銭湯は1968年の2,687軒がピークで、今は数百軒。何代も同じ家族が続けているところも少なくありません。多くは水道水を沸かしたお湯で、主浴槽はたいてい42度前後と熱く、深めです。高い煙突、入口の番台、黄色いケロリン桶、浴室の壁の大きな富士山のペンキ絵など、昔ながらの姿を残す銭湯もたくさんあります。
入浴料金は東京都が決めていて、組合に加盟する銭湯はどこでも同じです。2026年8月からは大人(12歳以上)600円、小学生200円、未就学児100円で、洗髪料は含まれています。サウナがある銭湯では、別料金になることがあります。温泉は、地中から湧く天然の湯を使ったお風呂のことです。スーパー銭湯は浴槽やサウナ、食事処、休憩所がそろった大型施設で、料金は銭湯の数倍、過ごし方もちょっとしたレジャーに近くなります。
銭湯の入り方
入口で靴を脱いで下足箱に入れ、木の札(鍵)を抜いて持っておきます。番台かフロント、または券売機で料金を払います。手ぶらで来ても、たいていの銭湯でタオルや石けん、シャンプーを買えます。男湯と女湯は暖簾や扉に「男」「女」と書かれています。
脱衣所では服を全部脱ぎ、ロッカーに入れて鍵をかけ、鍵は手首に巻いておきます。浴室に入ったらカランの前の椅子に座り、桶でかけ湯をして、体を洗ってから湯船へ。長い髪はまとめ、小さいタオルは湯につけず(頭にのせるか湯船の縁に置きます)、泳いだりシャワーを出しっぱなしにしたりしないこと。水着は着ません。上がるときは、小さいタオルで体をふいてから脱衣所に戻ります。
- 銭湯の脱衣所と浴室ではスマホの使用も撮影も禁止です。スマホはロッカーへ。
- 現金を持っていきましょう。カードが使えない銭湯が多く、券売機やコインロッカーには小銭があると便利です。
- 東京都では7歳以上の子どもは混浴できません。家族で行くときは注意を。
- 入浴の前後に水を飲み、飲酒後や食事の直後は避け、ふらついたらすぐに上がりましょう。
都内で入れる天然温泉
温泉に入るために東京を離れる必要はありません。都内南部の大田区には「黒湯」と呼ばれる温泉が湧いています。大昔の植物に由来する成分で、お湯は紅茶のような濃い茶色。地下からこの黒湯をくみ上げ、普通の銭湯料金で入れる町の銭湯がいくつもあります。足元が見えないお湯につかるのも楽しみのひとつです。
ゆっくり一晩過ごすなら、行きやすい大型施設が二つあります。東京ドームシティのラクーアビル上層階にある「スパ ラクーア」は2003年開業。自前の天然温泉を使い、内湯と露天風呂、サウナ、休憩スペースがあります。2024年に豊洲市場の隣の「豊洲 千客万来」にできた「東京豊洲 万葉倶楽部」は24時間営業で、箱根と湯河原の源泉からお湯をタンクローリーで運んでいます。屋上の展望足湯からは東京湾が見渡せます。かつてこの手の施設の代表だったお台場の「大江戸温泉物語」は、2021年に閉館しました。
サウナ、「ととのう」、タトゥー
ここ数年のサウナブームで、お風呂の風景も変わりました。サウナと水風呂を新しく作ったりリニューアルしたりする銭湯が増え、サウナが主役の新しい施設も次々に開業しています。常連の流れは、サウナ、水風呂、外気浴のいす休憩を2、3回くり返すこと。最後に訪れる、静かで頭が軽くなる感覚を「ととのう」と呼びます。人気の銭湯サウナは週末の夜に混み合い、時間制の予約をとるところもあります。
タトゥーの扱いは施設によって大きく違うので、行く前に確認を。町の銭湯はタトゥーのある人も入浴できるところが多い一方、大型の温浴施設では断られたり、シールで隠せる小さなものだけ認められたりすることがよくあります。たとえば東京豊洲 万葉倶楽部では、フロントで販売しているカバーシール2枚までで完全に隠せる場合に限り利用できます。サイトに記載がないときは、受付でひとこと聞いておくと安心です。
- 水風呂に入る前に、シャワーかかけ湯で汗を流しましょう。タオルを水風呂につけるのは厳禁です。
- 施設の案内があればサウナのベンチの汗をふき、会話は控えめに。黙浴のサウナも多いです。
お風呂の一年と銭湯のイベント
銭湯には昔ながらの季節の湯が残っています。5月5日は菖蒲湯、12月下旬の冬至には柚子湯。柚子湯に入ると風邪をひかないと言われます。10月10日は「1010(せんとう)」の語呂合わせで東京の「銭湯の日」。組合加盟の銭湯では、この日の前後にラベンダー湯を行います。毎月決まった日に薬湯を用意する銭湯もあります。
一年を通して、東京都浴場組合や各区の組合がスタンプラリーを開催しています。銭湯ごとにスタンプを集め、たまったカードを記念品と交換する仕組みです。たくさんの銭湯をめぐる人向けの「銭湯お遍路」も長く続いています。いちばんお風呂が気持ちいいのは冬。寒い日の外出の締めくくりに銭湯はぴったりです。都外の温泉地なら、箱根が定番です。