目的別の選び方
見たいもので選びましょう。バラと一日がかりのお出かけなら調布の神代植物公園。都心で歴史と巨木を味わうなら文京区の東京大学小石川植物園。都心から近いガラスのドームで熱帯植物を見るなら江東区の夢の島熱帯植物館。芝生の散歩と温室を一度に楽しむなら新宿御苑。無料で少し変わった体験なら小平市の東京都薬用植物園。2月から5月まで桜を追うなら高尾の多摩森林科学園。江戸の小さな花園なら向島百花園です。
雨の日は温室が主役です。一年中暖かく、冬に咲く熱帯植物も多く、雨のおかげで人も少なめ。神代植物公園、小石川植物園、新宿御苑のように屋外の園と温室を同じ入園券で回れる場所なら、にわか雨はガラスの下でやり過ごせます。冬の屋外でも、1月から3月は梅、ツバキ、ロウバイ、早咲きの桜が咲きます。
ほぼ共通する注意点が二つあります。多くは月曜休園(祝日の場合は翌日)で、温室は園全体より早く閉まり、15時に閉まるところもあります。例外は向島百花園で、年末年始を除いて毎日開いています。
- 神代植物公園、夢の島熱帯植物館、向島百花園は、5月4日(みどりの日)と10月1日(都民の日)は誰でも無料です。その分混み合います。小石川植物園も5月4日は無料です。
神代植物公園(調布市)
神代植物公園は規模も内容もいちばん充実した植物園で、約52ヘクタールの台地と雑木林に約4,800種類の植物があります。一日かけて回りたい人、バラが好きな人に向いています。噴水を囲む沈床式のばら園には約400品種が植えられ、5月中旬から下旬と10月中旬からが見頃で、それぞれバラフェスタが開かれます。大温室には熱帯スイレン、ベゴニア、ランなど約1,300種類、深大寺となりの水生植物園(無料)では6月にハナショウブが咲きます。都心の西にあり、調布・吉祥寺・三鷹からバスで行きます。帰りにはとなりの深大寺でそばを食べるのがおすすめです。入園料は2026年現在、一般500円です。
小石川植物園(文京区)
小石川植物園、正式には東京大学大学院理学系研究科附属植物園は、日本で最も古い植物園です。1684年に江戸幕府が設けた「小石川御薬園」が前身で、1877年の東京大学創立直後に大学の附属植物園になりました。約16ヘクタールの台地、斜面、池からなる研究のための植物園で、植物には名札がつき、遊びのための芝生はなく、落ち着いた空気が流れています。
ニュートンのリンゴとメンデルのブドウの分け木、1896年に平瀬作五郎がイチョウの精子を発見した「精子発見のイチョウ」、江戸時代の小石川養生所の井戸が見どころです。日本庭園近くの梅林は2月、ソメイヨシノは3月下旬、イロハモミジ並木は11月下旬から12月上旬が見頃。2019年に新しくなった公開温室では約2,000種を6室で展示し、となりの冷温室には高山植物が並びます。
2026年現在、事前予約は不要で、正門左側の自動券売機で入園券を買います(大人500円、小人150円)。再入園はできません。開園は9時から16時30分(入園は16時まで)、温室は10時から15時のみで、月曜日と12月29日から1月3日は休園です。食事はできますが、飲酒、喫煙、ペット、ドローンは禁止。正門へは都営三田線白山駅A1出口から徒歩約10分です。
- 後楽園近くの大名庭園「小石川後楽園」とは別の場所です。地図アプリでは、植物園の案内どおり「小石川植物園正門受付発売所」で検索すると確実です。
雨の日、寒い日の温室
江東区の夢の島熱帯植物館は、都心から最も行きやすい温室です。JR京葉線、東京メトロ有楽町線、りんかい線の新木場駅から徒歩約15分。三つのドームがつながった大温室に約1,000種類があり、Aドームは熱帯の水辺、Bドームはカカオやバナナなど暮らしに役立つ植物、Cドームは小笠原の植物を中心に展示しています。冷暖房には近くの清掃工場の余熱を利用しています。2026年現在、一般250円、9時30分から17時(入館は16時まで)で、月曜日と12月29日から1月3日は休館です。
となりの第五福竜丸展示館(無料)では、1954年のビキニ環礁の水爆実験で被ばくしたマグロ漁船を見られ、合わせて屋内中心の半日になります。
新宿御苑の大温室は入園料(2026年現在、一般500円)だけで入れ、沖縄や小笠原の絶滅危惧植物を含む1,000種以上を展示しています。開館は庭園より遅く、閉館は早め。このページの温室でいちばん開館時間が短いのは小石川植物園(10時から15時)なので、いくつか回るならそこを軸に予定を組みましょう。
多摩地域:無料の薬用植物園と桜の森
小平市の東京都薬用植物園は、東京都健康安全研究センターが危険ドラッグなどの植物鑑別に使う施設で、入園は無料です。西武拝島線東大和市駅から徒歩2分。漢方薬や民間薬の原料植物区、染料植物区、温室のほか、山菜と間違えやすい有毒植物を解説する有毒植物区があります。柵で囲まれたケシ・アサ試験区のケシは5月上旬に咲き、いちばんの見どころです。
2026年現在、開園時間は4月から9月が9時から16時30分、10月から3月が16時まで。月曜日と年末年始は休園ですが、4月の第3・第4月曜日と5月の月曜日は開園します。飲食は東屋とベンチのみ、園内は禁煙・禁酒・火気厳禁で、ペットは駐車場までです。
高尾駅北口から徒歩約10分の多摩森林科学園は、森林総合研究所の施設です。約8ヘクタールの斜面に広がるサクラ保存林には、全国の名木のクローンを含む千本を超える桜が植えられ、2月から5月上旬まで何かしら咲いていて、いちばん多いのは4月です。公開休止を経て、2025年3月からサクラ保存林は一部公開中。坂が急な場所もあるので、歩きやすい靴で行きましょう。
2026年現在、大人200円(4月は300円)。開園は9時30分(4月は9時)から16時、入園受付は15時30分までで、月曜日と年末年始は休園です。研究施設なので酒類とペットの持ち込みはできず、飲食物の販売もありません。同じ日に高尾山と組み合わせるのがおすすめです。
向島百花園と、少し足をのばして大船へ
向島百花園は植物園というより花園です。1800年代の初め、骨董商の佐原鞠塢が江戸の文人墨客の協力で開き、和歌や漢詩にゆかりのある草花を植えました。小さく素朴な園で、2月の梅、9月のハギのトンネル、11月の菊が見どころです。入園料は2026年現在、一般150円。12月29日から1月3日を除いて毎日開いているので、月曜日に行ける貴重な植物の名所です。東武スカイツリーライン東向島駅から徒歩約8分。
神奈川県では、鎌倉市の大船フラワーセンター(県立の植物園、愛称は日比谷花壇大船フラワーセンター)が、JR大船駅西口から徒歩約15分、鎌倉駅から二駅です。明治以降に輸出用に改良された「大船系」のシャクヤクで知られ、約210品種が5月上旬から中旬に咲きます。6月のハナショウブ、夏のハスも見どころで、ここで選抜された早咲きの「玉縄桜」は2月下旬から咲きます。休園日は第2・第4月曜日で、2026年の入園料は一般400円でした。