大名屋敷から国民公園へ
この土地はもともと、徳川家の譜代大名だった内藤家の江戸屋敷の一部でした。日本庭園にある玉藻池は、その庭園「玉川園」の名残とされ、御苑でいちばん古い部分です。明治に入ると農業の試験場となり、その後は皇室の庭園として整備されました。フランス人造園家アンリ・マルチネの設計を取り入れ、1906年に新宿御苑として完成しています。
1945年の空襲で園内の大半が焼けましたが、1949年に国民公園として一般公開され、現在は環境省が管理しています。門があり、入園料と開園時間が決まっていて、ルールもはっきりしているのはこうした経緯があるからです。そのおかげで、新宿の真ん中でも芝生は静かに保たれています。
見どころ
大木戸門から入ると、まずガラス張りの大温室が目に入ります。2012年に建て替えられ、熱帯や亜熱帯の植物を中心に1,000種類以上を展示しています。小笠原や奄美の絶滅危惧植物も見られ、一年中暖かいので、寒い日や雨の日の立ち寄り先にも向いています。
園の中央に広がる芝生がイギリス風景式庭園で、ユリノキやヒマラヤスギの大木が立ち、周りを桜が囲んでいます。隣のフランス式整形庭園は左右対称の造りで、バラ花壇と、秋に黄金色になるプラタナスの並木が見どころです。日本庭園は池をめぐる回遊式の庭で、昭和天皇のご成婚を記念して建てられた中国風の東屋「旧御涼亭」や、日本庭園を見渡せる開放的な茶室「翔天亭」があり、抹茶を使った和風スイーツで一休みできます。
明治期に皇室の休憩所として建てられた洋館「旧洋館御休所」は重要文化財で、開園日に内部を見学できます。園内にはスターバックスやカフェもあり、半日ゆっくり過ごせます。
- 温室は庭園より開館が遅く、閉館が早めです。日の短い冬の午後は先に温室へ。
- 新宿門、大木戸門、千駄ヶ谷門の三つの門にはコインロッカーがあります。
新宿御苑の一年
御苑の桜は約70品種、約900本あり、早咲きから遅咲きまで花の期間が長いのが特徴です。カンザクラ系は1月から3月上旬、ソメイヨシノは3月下旬から4月上旬、八重のイチヨウやカンザンは4月中旬から下旬が見頃になります。街なかの桜が散ったあとでも、御苑ではどこかで咲いていることが多いです。桜の時期は月曜日も開園します。
初夏と秋には整形庭園のバラが咲き、初夏は閉園時間が遅くなります。毎年11月1日から15日までは日本庭園で菊花壇展が開かれます。明治の宮中の観菊会から続く伝統で、一株から数百輪を咲かせる「大作り」や、崖から垂れ下がるように仕立てる「懸崖作り」は特に見応えがあります。
紅葉は11月のプラタナス並木に始まり、11月下旬から12月上旬に日本庭園のモミジが色づきます。ガイドウォークや早朝開園が行われる日もあり、公式のカレンダーと下の一覧で確認できます。
ルール、入園券、行く時間
新宿御苑は一般的な公園よりルールが厳しめです。酒類の持ち込みは禁止で、ボール遊び、バドミントン、フリスビー、ドローン、テント、カセットコンロなどの火気、喫煙(電子たばこを含む)もできません。ペットは補助犬を除いて入れず、家庭ごみの持ち込みも控えるよう求められています。芝生に座ってお弁当を食べるのは問題なく、春はそれを楽しみに来る人がたくさんいます。
入園料が必要で、中学生以下は無料です。門で支払えるほか(入園ゲートでは交通系ICカードが使えます)、ネットで事前にWEBチケットを買い、QRコードで入ることもできます。近年は桜のピークの土日に、混雑する時間帯だけネットでの事前予約制になり、開園直後の時間帯は予約不要でした。3月に入ったら公式サイトを確認してください。
開園は朝9時で、閉園は季節によって夕方から夜の早い時間まで変わり、冬がいちばん早く閉まります。休園日は月曜日(祝日の場合は翌平日)と年末年始ですが、桜と菊の時期は無休です。どの季節も平日の朝がいちばん落ち着いています。
- 桜の週末は開園時間に門に着くのがおすすめです。昼前には長い列ができます。
- ランニングは指定コースのみで、桜の時期はできません。
アクセスと周辺
新宿門はJR・京王・小田急の新宿駅南口から徒歩約10分、新宿三丁目駅や丸ノ内線新宿御苑前駅の出口1から徒歩約5分です。大木戸門は新宿御苑前駅の出口2から徒歩約5分。南側の千駄ヶ谷門は、JR総武線千駄ケ谷駅と大江戸線国立競技場駅から徒歩約5分です。
新宿門から出れば新宿三丁目の飲食店がすぐなので、夕方まで過ごしたあとの食事に便利です。千駄ヶ谷門からは国立競技場や明治神宮外苑方面へ歩けます。明治神宮や原宿へは、少し歩くか電車ですぐです。