見頃の時期
関東甲信の梅雨入りは平年で6月7日ごろ、梅雨明けは7月19日ごろですが、年によって1週間以上前後します。先に咲くのは花菖蒲で、菖蒲園は例年5月下旬に咲き始め、6月前半に見頃を迎え、6月下旬には終わります。あじさいは5月下旬に小ぶりの山あじさいから始まり、6月中旬ごろに最盛期になります。山ではさらに遅く、箱根登山電車の沿線では標高の低い駅で6月中旬から、終点の強羅あたりでは7月中旬まで楽しめます。
あじさいの色は土の性質にも左右され、酸性の土では青く、そうでない土ではピンクになりやすいといわれます。同じ鎌倉でも青一色の寺と色とりどりの寺があるのはそのためです。庭園や寺社はウェブサイトやSNSで「咲き始め」「見頃」などの開花状況を発信しています。まつりの日程は春に決まるので、開花が早い年は最終週末にはもう見頃を過ぎていることもあります。
- 花菖蒲は朝がいちばんみずみずしく、暑い日の午後にはしおれ気味になります。早めの時間に行きましょう。
- このページで紹介する場所は、どこも小雨の平日がいちばん落ち着いて見られます。
都内のあじさい:白山神社、高幡不動、飛鳥山
文京区の白山神社では、例年6月前半に「文京あじさいまつり」が開かれ、境内から隣の白山公園にかけて約3,000株が咲きます。見どころは境内の富士塚。富士山へ行けない人が登って参拝した人工の小山で、あじさいに覆われた富士塚に登れるのはまつりの期間だけです。週末にはコンサートや屋台も出ます。都営三田線白山駅から徒歩約3分、東京メトロ南北線本駒込駅から徒歩約5分で、駐車場はありません。
日野市の高幡不動尊は、京王線・多摩モノレールの高幡不動駅から徒歩5分。都内でも指折りの規模で、200種以上、7,000株を超えるあじさいが、お堂の裏山の散策路を中心に植えられています。あじさいまつりは6月いっぱい開かれ、境内は無料です。裏山の山あじさいは5月下旬から、大きな西洋あじさいは6月中旬ごろから見頃になります。急な所もあり雨のあとは滑りやすいので、歩きやすい靴で行きましょう。
北区の飛鳥山公園はJR王子駅のすぐ横。桜で知られる公園ですが、線路沿いの斜面約350mに約1,300株のあじさいが植えられています。無料で、15分ほどで見て回れ、花の向こうを電車が行き交う様子も楽しめます。見頃は例年5月下旬から6月中旬と、ほかより少し早めです。
- 白山神社の富士塚は、まつりの週末には登るための列が長くなります。平日の午前中がおすすめです。
鎌倉と箱根:あじさい寺とあじさい電車
東京駅からJR横須賀線で約1時間の鎌倉は、首都圏を代表するあじさいの町です。北鎌倉駅から徒歩約10分の明月院は「あじさい寺」と呼ばれ、参道の石段を約2,500株が彩ります。ほとんどが「明月院ブルー」と呼ばれるやわらかな青色です。6月は8時30分から17時まで拝観でき、拝観料は大人500円です(2026年時点)。本堂裏の庭園は花菖蒲の時期と紅葉の時期だけ別料金で公開されます。6月の週末は、午前中のうちに駅の方まで行列が伸びることもあります。
大仏の近くにある長谷寺には、40種類以上、約2,500株のあじさいが咲く「あじさい路」があり、眼下に相模湾を望めます。急な石段が続くので覚悟して行きましょう。見頃の時期は、拝観料とは別に「あじさい券」が必要です。2026年は時間指定のネット予約制で、数日前に翌週分の受付が始まり、シーズン終盤は入口での当日券のみになりました。方式は年によって変わるため、5月下旬からは長谷寺の公式サイトを確認してください。
箱根では、箱根湯本から強羅へ上る箱根登山電車の線路沿いにあじさいが植えられ、「あじさい電車」と呼ばれています。標高差が約445mあるため、見頃は6月中旬から7月中旬にかけて山を上っていきます。スイッチバックで電車が向きを変える大平台駅周辺は、特に花が密集する場所です。夜は沿線のあじさいがライトアップされ、座席指定の「夜のあじさい号」が湯本から強羅まで撮影停車をしながら走ります。座席券はインターネット販売のみで、2026年は5月中旬に発売され、すぐに埋まりました。最新の日程は箱根ナビで確認できます。
- 6月の鎌倉は土曜日がいちばん混みます。平日なら明月院に開門と同時に入り、そのあと江ノ電で長谷寺へ回るのが効率的です。
- 6月の箱根登山電車は日中かなり混みます。朝早くに乗るか、夜のライトアップを狙いましょう。
花菖蒲:堀切、水元、明治神宮、小石川後楽園
花菖蒲は江戸時代に数多くの品種が生み出され、その名所が堀切でした。歌川広重も「名所江戸百景」に堀切の花菖蒲を描いています。京成線堀切菖蒲園駅から徒歩約10分の堀切菖蒲園には、江戸系の古い品種を中心に約200品種、約6,000株が植えられています。入園は無料で、5月下旬から6月中旬の「葛飾菖蒲まつり」の期間は、近年は8時から18時まで開いています。こぢんまりとして週末は混みますが、花のすぐ脇を歩けるのが魅力です。
まつりのもう一つの会場が、区の北部にある都立水元公園です。水辺の広い公園で、14の菖蒲田に約100品種、約14,000株が咲き、ポプラやメタセコイアの並木も見事です。入園無料で、終日開放されています。土日祝日は金町駅南口から循環バスが出ていて、はなしょうぶ園のすぐ近くに停まります。平日は路線バスで近くまで行き、数分歩きます。
都心では、明治神宮御苑の菖蒲田は、明治天皇が昭憲皇太后のために植えさせたと伝わります。150種以上、約1,500株が6月上旬から中旬に見頃を迎え、この時期は開苑時間も延びます。入苑には維持協力金が必要です。東京ドームの隣の小石川後楽園でも、江戸の庭園の中の菖蒲田に約660株が咲き、近くにはあじさいもあります。通常の入園料で見られます。
- あやめやかきつばたは同じアヤメ科で、5月に先に咲きます。「花菖蒲」とあれば、湿った田に咲く6月の花です。
雨の日に行くコツとマナー
小雨はどちらの花にも似合います。濡れたあじさいは色が深く見え、人出も少なめです。ただ大雨となると話は別で、鎌倉の寺の石段や高幡不動の散策路は滑りやすくなり、雨天時はステージイベントが中止になることもあります。濡れてもよい靴と小さなタオルがあると安心です。6月は蒸し暑く気温25度を超える日も多いので、厚手のレインコートより傘のほうが快適なこともあります。
明月院の石段や長谷寺のあじさい路のような狭い場所では、傘を低めに持ち、雨がやんだら閉じましょう。階段の途中で長く立ち止まって撮影するのも控えてください。花を摘んだり植え込みに入ったりするのはどこでも禁止です。水元公園などの都立公園ではドローンの飛行が禁止されており、寺社でも許可が必要です。ペットの同伴ルールは場所ごとに違うので、事前に確認しましょう。
雨が強くなったら、堀切から電車ですぐの柴又で、帝釈天の参道と甘味処を楽しむのもいいでしょう。屋内の過ごし方は雨の日ガイドにまとめています。
- 濡れた傘を入れる袋を持っていくと、お堂の拝観や帰りの電車で困りません。
- 大雨や強風に弱いのは、あじさいより花菖蒲です。見頃の時期に荒天の予報が出たら、前日に行くのが安心です。