花の一年と見頃の読み方
どの花も、いちばんきれいな見頃は1〜2週間ほどで、その時期は天気しだいで前後します。暖冬なら梅は早まり、春が寒ければ藤は遅れ、あじさいのピークは梅雨の進み方で決まります。まつりの日程は何か月も前に決まるので、初日や最終日に花が満開とは限りません。公園や庭園、神社は公式サイトやSNSで開花状況を発信しているので、「咲き始め」「見頃」「散り始め」の表示を出かける前に確認するのが確実です。
桜と紅葉はそれぞれ別のガイドにまとめています。ここではそれ以外の花を、だいたい季節順に紹介します。文京区は湯島天神の梅と菊、播磨坂の桜、根津神社のつつじ、白山神社のあじさいと、毎年「文京花の五大まつり」を開いています。
- どの名所も平日の朝がいちばん落ち着いています。週末の昼前後は庭園の小道が人で埋まることも。
- 神社の境内は無料のことが多く、大名庭園や大きな公園は入園料がかかります。屋台や受付用に現金を。
- 狭い園路では三脚の使用が制限されていることがよくあります。入口の案内を確認しましょう。
梅:2月から3月上旬
梅は寒さの中で咲き、例年2月から3月上旬、桜より数週間早く見頃を迎えます。いちばんの楽しみは香りで、風のない日は白梅の木が見える前に香りが届きます。湯島駅近くの湯島天神(湯島天満宮)は菅原道真をまつる神社で、約300本、その大半が白梅という境内で「文京梅まつり」が開かれます。受験生がお参りする神社でもあり、梅の季節は合格祈願の絵馬がびっしり。週末には甘酒や各地の物産の屋台が出て、小さな舞台で奉納演芸も行われます。
梅ヶ丘駅から歩いてすぐの世田谷区・羽根木公園では、ゆるやかな丘に紅白約650本の梅が咲き、「せたがや梅まつり」が開かれます。屋台が並び、日によっては野点もあります。入園は無料です。飯田橋近くの小石川後楽園は江戸初期の大名庭園で、池や石橋のあいだに梅林があります。規模は小さめですが入園料がかかるぶん落ち着いて歩けます。
- 梅の時期はまだ真冬の寒さです。外で野点に座るなら、しっかり防寒を。
つつじ、藤、春の花畑
4月の「文京つつじまつり」では、根津駅近くの根津神社の斜面がピンクや赤、白のつつじで埋まります。境内は無料ですが、まつり期間中のつつじ苑は入苑料が必要です。千本鳥居のすぐ隣が苑になっています。週末は参道に屋台が並びます。
4月下旬から5月上旬の藤なら、江東区の亀戸天神社が定番です。池に太鼓橋がかかり、長い藤棚が水面に垂れる景色は広重の浮世絵にも描かれ、いまは背後に東京スカイツリーが見えます。藤まつりの期間は屋台が出て、夜は藤棚がライトアップされます。亀戸駅から歩いて15分ほどです。
広い花畑なら、立川の国営昭和記念公園へ。春は数十万球のチューリップが咲き、ネモフィラの丘は4月中旬から5月に見頃を迎えます。有名なネモフィラの丘がある国営ひたち海浜公園は茨城県なので、行くなら片道2時間ほどの日帰り旅行になり、見頃の週末はかなり混雑します。
- 藤の見頃はゴールデンウィークと重なることが多いので、できれば平日の朝に。
梅雨の花菖蒲とあじさい
6月は梅雨。庭園が一年でいちばん美しく見える時期でもあります。京成線の堀切菖蒲園駅から徒歩10分ほどの葛飾区・堀切菖蒲園は、江戸から続くこぢんまりした菖蒲園で、紫や白、青の花菖蒲が数千株、多くは江戸系の古い品種です。入園は無料。例年6月の「葛飾菖蒲まつり」は、区の北にある広い水元公園と合わせて開かれます。
都営三田線の白山駅近くの白山神社では「文京あじさいまつり」が開かれ、約3000株が咲き、ふだんは入れない富士塚もまつりの期間だけ公開されるのが通例です。京王線の高幡不動駅すぐの高幡不動尊(日野市)は、境内裏の山の散策路に沿って数千株のあじさいが咲き、境内は無料です。鎌倉の明月院は「あじさい寺」として人気の日帰り先ですが、6月は拝観料がかかり、週末は長い行列になります。
- 花菖蒲とあじさいは、曇りや小雨の日のほうがしっとりきれいに見え、人も少なめです。
- 濡れてもいい靴で。庭園の小道やお寺の山道はぬかるんで滑りやすくなります。
蓮、ひまわり、コスモス、菊
真夏の上野公園では、不忍池の弁天堂のまわりが蓮で覆われ、例年7月中旬から8月中旬が見頃です。蓮の花は早朝に開いて昼ごろには閉じるので、朝のうちに行きましょう。東京の北西部にある清瀬市では、夏のひまわりフェスティバルで畑一面に約10万本のひまわりが咲きます。入場は無料で、近年は清瀬駅からシャトルバスも出ていますが、混雑する日は事前予約が必要だった年もあるので、市の案内を確認してから出かけましょう。
秋は昭和記念公園の花の丘がコスモスでピンクと白に染まり、例年9月中旬から10月が見頃です。11月は菊の季節。新宿御苑では月の前半に日本庭園で菊花壇展が開かれ、伝統の仕立てで育てた菊が上屋と呼ばれる木の小屋の下に並びます(通常の入園料が必要)。湯島天神の「文京菊まつり」では約2000点の菊と、その年のNHK大河ドラマをテーマにした菊人形が飾られます。
- 夏の上野や清瀬は蒸し暑く、ひまわり畑には日陰がほとんどありません。水分と帽子を忘れずに。
- 花のイベントでは屋台や舞台が「雨天中止」でも、庭園そのものは開いていることがほとんどです。