谷中はどんな街か
谷中は江戸時代、上野の北の台地に寺が集まって寺町として発展し、いまも路地沿いに寺が続きます。関東大震災やその後の大きな火災の被害を比較的受けなかったため、戦前の家屋や商店、路地が多く残りました。谷中は台東区、千駄木と根津は文京区、日暮里駅は荒川区にあります。
谷中霊園は天王寺の寺域だった土地に1874年に開設され、広さは約10ヘクタールです。最後の将軍・徳川慶喜や実業家の渋沢栄一をはじめ、明治以降の画家や作家が多く眠っています。
見どころ
日暮里駅の西側から歩くと、夕焼けの名所として知られる36段の階段「夕やけだんだん」があり、その下が谷中銀座商店街です。全長約170mに60ほどの小さな店が並び、コロッケやメンチカツ、せんべい、和菓子、猫グッズの店があります。猫のしっぽの形をしたドーナツの店もあります。
駅の反対側には谷中霊園が広がります。中央の「さくら通り」はかつての天王寺の参道で、桜並木が続き、その近くには1957年に焼失した天王寺五重塔の礎石が残っています。
あいだの路地には、銭湯を改装し瓦屋根を残した現代美術ギャラリー「SCAI THE BATHHOUSE」、1938年から角に店を構える「カヤバ珈琲」、1938年築の木造家屋3軒をビアホールやパン屋、小さな店に再生した「上野桜木あたり」があります。彫刻家・朝倉文夫の住まいとアトリエだった朝倉彫塑館には、水の庭と屋上庭園があり、猫の彫刻も多く見られます。朝倉は大の猫好きでした。
- 猫は街の住人です。えさをあげたり、抱き上げたりしないでそっと見守りましょう。
- 谷中銀座には、その場で食べる用にしか売らない店もあります。持ち帰りたいときは注文前に確認を。
- 朝倉彫塑館は近年、月曜と木曜が休館です。出かける前に確認してください。
谷中の一年
1月1日から10日は谷中七福神めぐり。江戸で最も古い七福神めぐりとされ、上野の不忍池弁天堂から田端まで、約5kmを歩いて七つの寺を巡ります。御開帳と御朱印はこの期間だけです。3月下旬から4月上旬には霊園のさくら通りが桜色に染まります。霊園なので宴会はせず、歩きながら眺めるのが習わしです。
4月は、歩いてすぐの根津神社でつつじまつりがあり、斜面に約3,000株のツツジが咲きます。10月には町会が中心になって屋台やゲームが並ぶ「谷中まつり」が開かれ、同じ頃に根津・千駄木下町まつりもあります。
谷中骨董市は、樹齢を重ねた大きな椎の木がある江戸時代からの寺、延命院の駐車場で、おおむね月に一度、週末か祝日に開かれます。陶磁器、道具、古着物などが並び、入場無料、雨天中止です。
歩く時間とマナー
谷中は住宅街でもあり、いちばん気持ちよく歩けるのは平日か、商店街が混む前の週末の朝です。夕やけだんだんは夕暮れどきに混み合います。カフェやギャラリーは昼前に開くところが多く、小さな店には週に一日の定休日があり、商店街は夕方には静かになります。
寺の路地や霊園では声を抑え、写真のためにお墓に立ち入ったり、閉まっている寺の門をくぐったりしないようにしましょう。古い家の多くには今も人が住んでいるので、撮影は道から、玄関の前はふさがないように。小さな店や骨董市は現金のみのことが多く、ゴミ箱も少ないので、包み紙を入れる袋があると便利です。
- 人の少ない路地とやわらかい光なら朝がおすすめ。週末の午後はにぎやかで混み合います。
- 食べ歩きや骨董市のために、小銭と千円札を用意しておきましょう。
アクセスと周辺
起点の定番は、JR山手線・京浜東北線・常磐線、京成線、日暮里・舎人ライナーが通る日暮里駅で、西口から谷中銀座まで歩いて約5分です。商店街の反対側からは東京メトロ千代田線の千駄木駅まで約5分、ひと駅南の根津駅は根津神社の最寄りです。
上野桜木を南へ歩くと、東京藝術大学や東京国立博物館を通って上野公園に出ます。日暮里から霊園と寺町、谷中銀座、よみせ通りを千駄木へ抜け、根津神社まで歩けば充実した半日になります。