お月見の意味と時期
中心になるのは十五夜、旧暦8月15日の夜で、「中秋の名月」とも呼ばれます。旧暦に基づくため日付は毎年変わり、9月上旬から10月上旬のどこかになります。満月と重なることが多いものの、必ずではありません。1日か2日ずれる年もありますが、見た目にはどちらもまん丸です。
約1か月後には旧暦9月13日の十三夜があり、たいてい10月です。十五夜だけ、十三夜だけを見るのは「片見月」といって縁起が悪いとされ、両方を愛でるのが習わしでした。十五夜は里芋を供えることから「芋名月」、十三夜は「栗名月」「豆名月」とも呼ばれます。庭園や神社によってどちらの夜に合わせて催しを開くかが違うので、事前に確認しておきましょう。
- その年の十五夜は「十五夜」「中秋の名月」と年号で検索すれば、暦や天気のサイトにかなり前から載っています。
- 曇っても催しは行われます。見えない月を「無月」、雨の夜を「雨月」と呼び、それも風情とされてきました。
どこで見るか:庭園、神社、日帰りの名所
定番は墨田区の向島百花園です。江戸時代に開かれた小さな花の庭園で、十五夜のころに開かれる「月見の会」は長く続く恒例行事です。期間中は夜まで開園し、園路に行灯が並び、団子や秋の野菜が供えられ、年によっては琴の演奏や茶会もあります。ちょうど萩が見頃を迎える時期でもあります。
中央区の浜離宮恩賜庭園では近年、十三夜に合わせて夜間開園のお月見イベントが開かれています。ライトアップされた園内で、潮入の池に浮かべた舟から雅楽が流れ、中島の御茶屋では月見の菓子と抹茶が楽しめます。赤坂の日枝神社では十五夜の夜に「中秋管絃祭」が行われ、山王太鼓、管絃、神楽舞、舞楽を神前で鑑賞できます。こちらは有料の鑑賞券制です。
少し足をのばすなら、横浜の三溪園では例年観月会が開かれています。三重塔などの古建築がライトアップされ、臨春閣で雅楽や箏曲、篠笛などの演奏を通常の入園料だけで楽しめます。都心から1時間ほどです。
今どきのお月見:展望台、アート、月見バーガー
伝統行事ばかりではありません。近年は池袋のサンシャイン60展望台や東京タワーが、夜間営業の延長や特別ライトアップを伴うお月見企画を開いています。下北沢では月をテーマにした無料の屋外アートイベント「ムーンアートナイト下北沢」が開かれてきました。日本庭園を持つホテルが、秋に月をテーマにした光の演出を行うこともあります。
食卓にも月が登場します。生卵の黄身を月に見立てた月見そばや月見うどん、毎年秋に出るファストフードの月見バーガーはおなじみです。和菓子店やスーパーでは月見団子が並び、十五夜の週にはコンビニでも小さなパックが手に入ります。
団子、すすき、月のうさぎ
伝統的なお供えは、三方に白い月見団子を積んだもので、十五夜なら15個とされます。月の見える窓辺や縁側に置き、隣にはすすきを飾ります。すすきは稲穂に見立てたもので、魔よけになるともいわれます。里芋や栗、ぶどう、柿など季節のものを添える家庭もあり、月を眺めたあとは団子をいただきます。
日本では満月の模様を「餅をつくうさぎ」と見立てます。この季節は団子の包装や店頭の飾り、イベントのポスターなど、あちこちでうさぎを見かけるはずです。家でお月見をするなら、団子を少し、花屋で買ったすすきを一枝、東向きの窓辺があれば十分です。
- すすきは十五夜の数日前から花屋やスーパーに並びます。当日は売り切れることもあります。
- 団子は作りたてがいちばんです。数日前ではなく、当日に和菓子店で買うのがおすすめです。
当日の時間と過ごし方
満月は日没のころ東から昇るので、最初の1時間ほどは低く、建物に隠れがちです。街なかでは日没から1〜2時間後、屋根の上まで昇ってからが見やすくなります。水辺は視界が開けるので、湾岸の庭園や隅田川の河川敷、広い公園など東側が抜けた場所が向いています。庭園の催しは21時ごろまでのことが多く、入園締め切りはそれより早めです。
9月の夜はまだ蒸し暑い日があり、庭園には蚊もいるので虫よけがあると安心です。10月の十三夜には薄手の上着がほしくなります。9月は秋雨や台風で天気が変わりやすく、屋外の演奏や茶会は雨で短縮や中止になることがあります。当日の午後に公式ページを確認しましょう。
- 晴れた週末の夜は庭園が混み合います。開園直後の時間帯が比較的ゆったりしています。
- 庭園の催しは通常の入園料で見られるものが多く、茶会や座席付きの演奏会は別料金や予約制のことがあります。
- 行灯の庭園は足元が暗めです。小さなライトかスマホのライトがあると歩きやすいです。