将軍家が造った神社
社伝によると、根津神社は約1900年前、日本武尊が千駄木の地に創祀したのが始まりとされます。現在の境内は甲府藩主・徳川綱重の屋敷跡で、のちの6代将軍家宣がここで生まれました。宝永3年、5代将軍綱吉がこの土地を献納し、今の社殿を造営しました。
本殿・幣殿・拝殿を一体にした権現造で、日光東照宮と同じ形式です。唐門・西門・楼門・透塀とあわせて国の重要文化財に指定されており、戦災の被害も1962年(昭和37年)までに修復され、宝永の建物が欠けずに残っています。東京十社のひとつでもあり、十社をめぐる参拝者も訪れます。
境内の見どころ
表参道から神橋を渡ると、朱塗りの楼門が迎えてくれます。江戸時代の楼門として都内に残る唯一のものといわれ、向かって右の随身像は水戸光圀公がモデルと伝えられます。その先の唐門と透塀に囲まれて、黒と金と朱の拝殿が建っています。
社殿の左手から斜面を上る千本鳥居の先が、池を見下ろす舞台に建つ乙女稲荷神社です。もうひとつの境内社、駒込稲荷神社の屋根には今も徳川家の紋が残ります。楼門の近くには「文豪の石」があり、近くに住み根津神社の氏子だった夏目漱石と森鷗外が腰かけたと言い伝えられています。
2025年からは、森鷗外が最初の妻と暮らし『舞姫』を書いた家が「舞姫の家」として境内で公開されています。上野・池之端の水月ホテル鴎外荘にあった建物で、2020年の閉館後に移築されました。公開は土日祝のみ(有料)で、裸足では入れないので靴下を用意してください。
- 千本鳥居の参道は細く、撮影待ちの列ができます。写真を撮ったら立ち止まらずに進みましょう。
- 社殿内の撮影は禁止です。撮影の前に参拝を済ませるよう神社がお願いしています。
根津神社の一年
4月は1970年から続く「文京つつじまつり」の季節です。社殿脇のつつじヶ岡に約100種3,000株が植えられ、早咲きから順に開き、見頃はたいてい4月中旬から下旬です。つつじ苑はまつり期間中だけの開苑で、入苑には寄進料が必要です。期間中は参道に露店も並びます。
ほかの季節も行事が続きます。1月は初詣、節分の日(2月3日ごろ)は節分祭。6月30日は茅の輪くぐりの大祓、7月から8月は風車が並ぶ「夏詣 かざぐるま祭り」で、8月中旬には地元団体による盆踊りもあります。9月21日が例祭で、その後の週末に露店や奉納演芸が出る例大祭があり、4年に一度は宮神輿が町を巡る神幸祭が行われます。10月中旬には「根津・千駄木下町まつり」、11月は七五三の家族連れで賑わいます。
多くの月の土曜日には、外部団体による朝市や手づくり市も境内で開かれます。日程は変わるので、神社の行事予定で確認してから出かけてください。
- 4月はつつじ苑の寄進料と露店用に現金を持っていきましょう。
- 季節限定の御朱印は数量限定です。欲しい場合は期間の早めに。
時間帯・混雑・マナー
境内は早朝から夕方まで開いていて、閉門は季節により変わりますが、多くの時期は17時前後です。参拝は無料です。いちばん静かなのは平日の朝で、9時前なら千本鳥居もほとんど人がいないことがあります。つつじの時期の週末は昼前から非常に混むので、朝早くか平日がおすすめです。
鳥居や門の前で一礼し、手水舎で手と口を清め、拝殿で参拝してから撮影しましょう。神社は、許可のない有料・商業撮影、レフ板や小道具など大きな機材、神職や巫女のコスプレを禁止しており、本殿付近では静かにするよう求めています。お守りや御朱印は授与所で扱っていて、受付時間は境内の開門時間より短めです。
アクセスと谷根千散歩
東京メトロ千代田線の根津駅・千駄木駅、南北線の東大前駅から、いずれも徒歩約5分です。都営三田線の白山駅からは徒歩約10分です。
根津は谷中・千駄木とあわせて「谷根千」と呼ばれる下町エリアのひとつです。千駄木を北へ歩けば、総菜や菓子の店が並ぶ谷中銀座、その先に谷中霊園と寺町があります。千駄木の団子坂上には文京区立森鷗外記念館があります。西には東京大学の本郷キャンパス、南へ歩けば上野公園と不忍池なので、上野の一日に組み込みやすい場所です。