日本でいちばん古い博物館
始まりは1872年に湯島聖堂で開かれた博覧会で、その後まもなく上野へ移りました。イギリス人建築家ジョサイア・コンドルによる最初の本館は1923年の関東大震災で被害を受け、現在の本館は渡辺仁の設計で1938年に開館しました。鉄筋コンクリートに瓦屋根をのせた建物で、重要文化財に指定されています。
正門を入って左手には、1909年に皇太子のご成婚を記念して開館したドーム屋根の洋館、表慶館が立っています。こちらも重要文化財ですが、現在は特別展や催し物のときだけ開館しています。
見どころ
まずは正門の正面にある本館へ。2階は縄文土器から江戸時代の絵画や浮世絵まで、日本美術の流れを時代順にたどれる構成で、博物館の案内では約30分で一巡できます。1階には彫刻、刀剣、漆工、陶磁の部屋に加え、アイヌと琉球の文化を紹介する部屋もあります。絵画や染織は傷みやすいため数週間ごとに展示替えがあり、行くたびに違う作品に出会えます。
東洋館は谷口吉郎の設計で1968年に開館し、中国や朝鮮半島から東南アジア、インド、エジプトまでアジアの美術を紹介しています。本館の奥にある平成館は、2階が大型の特別展会場、1階が埴輪や土偶の並ぶ考古展示室です。
法隆寺宝物館は谷口吉生の設計で1999年に開館した建物で、1878年に法隆寺から皇室に献納された319件の宝物を収めています。小さな金銅仏が暗がりに並ぶ展示室は、上野でいちばん静かな場所の一つです。敷地の外にある黒田記念館は無料で、洋画家・黒田清輝の作品を展示しています。代表作のある特別室が開くのは年に数回だけです。
- 総合文化展の多くの展示室では個人的な撮影ができます。フラッシュ、三脚、自撮り棒は禁止で、特別展は基本的に撮影できません。
- 総合文化展の解説パネルは日本語と英語です。
東京国立博物館の一年
一年は恒例の正月企画「博物館に初もうで」で始まります。1月にその年の干支にちなんだ作品や縁起のよい美術品が本館と東洋館に並び、三が日には屋外で和太鼓や獅子舞が披露されます。近年は長谷川等伯の国宝「松林図屏風」が1月前半に公開されています。
春には3月中旬から4月上旬ごろに「博物館でお花見を」が開かれ、桜を描いた作品の展示と、約10種類の桜が順に咲く本館北側の庭園を一緒に楽しめます。庭園は2021年に整備され、今は一年を通して開放されています。京都や奈良などから移築された五つの茶室は外から眺める形で、茶会や句会での貸し出しがあり、応挙館には茶館が入っています。晩秋には庭園のモミジが色づきます。
平成館では毎年いくつもの大型特別展が開かれ、人気展は会期末の数週間がいちばん混みます。総合文化展が無料になる日も年に数日あり、近年は文化の日(11月3日)も対象でした。
チケット、開館時間、混雑
開館は通常9時30分から17時までで、金曜と土曜は20時まで開いています。休館日は月曜日(祝日の場合は翌日)と12月末の約1週間です。設備点検などで一部の展示館や展示室が順に閉まることがあり、東洋館のように一つの館がひと月ほど閉まったり、本館の一部の部屋が数か月閉室したりすることもあります。行く前に公式サイトで確認してください。
総合文化展のチケットは時間指定なしでネット購入でき、購入後約2か月有効です。混雑時は窓口で30分以上待つこともあるので、事前購入が便利です。18歳未満と70歳以上は、年齢のわかるものを見せれば総合文化展が無料になります。特別展は専用のチケットで、当日は総合文化展も見られます。人気の特別展では日時指定制になることもあります。当日に限り、出口で日付印を押してもらえば再入館できます。
落ち着いて見られるのは平日の朝と、金曜・土曜の夕方以降です。館内のレストランやカフェは2026年に運営会社が替わり、新しい店が開いています。東洋館別棟のレストランとガーデンカフェ、法隆寺宝物館の鮨店、黒田記念館別館のコーヒー店、本館前庭のキッチンカー、庭園の「TOHAKU茶館」です。
- 時間がなければ本館2階と法隆寺宝物館だけでも。合わせて1時間半ほどです。
- 黒田記念館は夜間開館の日も17時で閉まります。
アクセスと周辺
JR上野駅の公園口、またはJR鶯谷駅の南口から徒歩約10分です。東京メトロ銀座線・日比谷線の上野駅、京成上野駅、千代田線の根津駅からは徒歩約15分です。
上野公園の北側にあり、国立西洋美術館、国立科学博物館、東京都美術館、上野動物園まですぐ歩けます。裏手から谷中へ抜ければ古い家並みと小さなカフェ、根津方面へ行けば春のつつじで知られる根津神社があります。帰りは上野駅そばのアメ横で手軽に食事をするのもおすすめです。