日程と時間、三つの打ち上げ場所
「河口湖・冬花火」は、富士河口湖町の実行委員会が開いている冬の行事です。近年は1月後半から2月下旬までの土曜と日曜に開かれ、天皇誕生日の祝日で「富士山の日」でもある2月23日は、曜日に関係なく打ち上げがあります。1シーズンでおよそ10〜11回です。次の冬の日程は町や山梨県の観光サイトで、たいてい初回の数週間前に発表されます。
打ち上げは毎回20時から約20分間。メイン会場で河口湖大橋の南のたもとにある大池公園、県営船津浜駐車場脇の湖岸の岩畳岩、南岸の八木崎公園の3か所から同時に上がります。観覧は無料で、有料席はありません。開催日には大池公園に15時ごろからキッチンカーが出るので、始まる前に温かいものを買えます。
小雨や雪ではたいてい実施されますが、強風だと中止になることがあります。2026年の案内には、林野火災警報が出ている場合は中止になるおそれがある、とも書かれていました。乾燥する冬には無視できない条件なので、出かける前に当日の町の発表を確認してください。
- 20分はあっという間です。カメラは最初の一発が上がる前、20時より前に準備しておきましょう。
- 土曜は大池公園前の湖岸が19時ごろから埋まり始めます。遅くとも19時半には着いておくと安心です。
見る場所と、夜の富士山
いちばん手軽なのは大池公園です。花火がほぼ頭上で開き、キッチンカーもあり、河口湖駅から歩いて約20分。公園前の、湖が開けて見える湖畔の遊歩道に立つのがおすすめです。橋を渡った北東岸の小さな岬産屋ヶ崎からは3か所の打ち上げを一度に見渡せるので、写真を撮る人に人気があります。駅と畳岩の間、船津の湖畔の遊歩道は、そのあたりに泊まる人にちょうどよい中間の場所です。
富士山については期待しすぎないことです。20時の富士山は暗く、晴れて月明かりのある夜に雪の稜線がうっすら見える程度で、よく見る「花火と富士山」の写真の多くは長時間露光で撮られたものです。一方で、冬は昼間に富士山がいちばんよく見える季節。午後のうちに着いて北岸から夕日に染まる富士を眺め、キッチンカーで腹ごしらえをしてから花火を待つのが冬花火らしい過ごし方です。船津や浅川には打ち上げ場所に面した湖畔の宿もあり、暖かい部屋から眺められます。
- 三脚を使うなら歩道をふさがない場所で。リモコンやスマホのタイマーを使うとぶれません。
- 河口湖大橋の上は車の通りが多く、立ち止まれる場所がありません。岸から見てください。
標高約830mの冬の夜の防寒
河口湖の湖面は標高約830m。晴れた2月の夜は湖岸の気温が氷点下数度まで下がることが多く、東京の都心より10度ほど低くなります。少なくとも30分、たいていはそれ以上じっと立って待つうえ、湖を渡る風で体感はさらに寒くなります。
服装は街の夜ではなく、スキー場のつもりで選んでください。保温インナー、フリースかセーター、ダウンジャケット、耳まで隠れる帽子、手袋、厚手の靴下、滑りにくい靴。遊歩道や駐車場は凍っていることがあります。コンビニのカイロは心強い味方で、足元に敷く小さなマットや段ボールがあると地面からの冷えを防げます。20時直前はキッチンカーに行列ができるので、温かい飲み物を水筒に入れて持っていくと便利です。
車で行く場合、1〜2月は湖周辺の道路や中央道に雪や凍結があることがあります。スタッドレスタイヤかチェーンは必須で、雪のあとは湖畔の道路が渋滞します。
- 天気予報は東京ではなく富士河口湖町で確認を。都内が晴れでも湖は雪、ということがあります。
東京からの行き方と、花火のあとの帰り方
バスタ新宿から河口湖駅へは高速バスで約1時間45分〜2時間。2026年10月から新宿発・河口湖駅発ともに1日55本に増えました。京王と富士急の共同運行ですが、予約サイトが京王便は「ハイウェイバスドットコム」、富士急便は「FUJIYAMA CONNECT」に分かれたため、別の会社の便に変えるときはいったん解約して取り直しになります。
電車なら、新宿からJR中央線で大月駅へ行き富士急行線に乗り換えるか、特急「富士回遊」で新宿から乗り換えなしの約2時間(全席指定)。冬花火の日に気をつけたいのは帰りです。2026年3月からのダイヤでは、河口湖発の最後の富士回遊は夕方に出てしまいます。花火のあとは富士急行線の普通列車で大月へ向かいますが、列車は22時ごろまであるものの、その日のうちに都心までつながるのは河口湖を21時過ぎに出る列車までです。乗り継ぎは出かける前に乗換案内で確かめておきましょう。
駅から大池公園へは湖沿いに歩いて約20分、または河口湖周遊バス(レッドライン)で「河口湖ハーブ館」下車。帰りは最終バスの時刻を確認しておき、多くの人は歩いて駅へ戻ります。車なら大池公園の無料駐車場が使えますが、土曜は20時よりかなり前に満車になり、終わったあとは出る道が混みます。
- その日のうちに東京へ戻るなら、大月での乗り継ぎを出発前に確認しておきましょう。高速バスで帰れるのは、その日に河口湖駅を20時45分ごろ以降に出る便がある場合だけです。難しければ泊まる計画に。
- ジャパン・レール・パスで乗れるのは大月まで。富士急行線は別料金です。
湖畔に泊まる
泊まれば寒さの中の慌ただしい往復がゆったりした旅になり、富士山がいちばん見えやすい朝も手に入ります。河口湖駅周辺と東岸の船津は大池公園まで歩ける距離で、ホテルや旅館の数もいちばん多いエリアです。橋を渡った北東岸の浅川温泉街は湖越しに富士山と向き合う場所で、産屋ヶ崎のそばのうぶやのように、部屋から富士山を正面に望める宿があります。北岸の大石周辺は静かで、小さなペンションやロッジが中心。車のある人向けです。
予算を抑えるなら、富士急行線で数分戻った富士吉田の富士山駅周辺のビジネスホテルが、湖畔より手ごろなことが多いです。冬花火の期間の土曜の夜と、2月23日前後はいちばん早く埋まります。日曜の夜は比較的取りやすく、日曜の花火も内容は同じです。
- 予約のときに湖側の部屋かどうかを確認しましょう。打ち上げ場所が見える部屋もあれば、駐車場側の部屋もあります。
富士五湖の冬の楽しみ
西隣の西湖では、1月下旬から2月前半にかけて西湖野鳥の森公園で「西湖こおりまつり」(旧称「西湖樹氷まつり」)が開かれます。高さ数mの氷の柱や壁が日没から19時までライトアップされ、晴れた日は背後に富士山が見えます。入場無料で、土日祝には売店も出ます。河口湖駅からバスで約40分なので、夕方に氷を見て20時に花火、と土曜1日で両方回れます。
冬のもうひとつの楽しみは温泉です。湖畔の宿の多くに温泉があり、日帰りなら鳴沢村の富士眺望の湯ゆらりに富士山を望む露天風呂があります。営業は平日21時まで、土日祝22時まで(受付は1時間前まで)。昼間は富士山パノラマロープウェイで湖の上の展望台へ。乾いた冬の空気で、富士山が一年でいちばんくっきり見える季節です。
- ゆらりは駅から離れています。バスかタクシーで行き、帰りの足も確かめておきましょう。