浜離宮とは
この地は寛永年間まで将軍家の鷹狩場で、一面の芦原でした。承応3年(1654年)、四代将軍家綱の弟で甲府宰相の松平綱重が海を埋め立てて別邸を建てる許しを得たのが始まりです。綱重の子の綱豊(家宣)が六代将軍になると将軍家の別邸「浜御殿」となり、その後も改修が重ねられて、十一代将軍家斉のころにほぼ今の姿になりました。
明治維新後は皇室の離宮となり、浜離宮と呼ばれるようになりました。古い建物の多くは20世紀に失われました。昭和20年(1945年)に東京都へ下賜され、翌年から公開されています。周囲の水面を含めて、国の特別名勝と特別史跡に指定されています。
園内の見どころ
庭園の中心は潮入の池です。東京湾の水位に合わせて水門を開け閉めし、海水を出し入れしていて、江戸時代から続く庭園で実際に海水が出入りしているのは都内でここだけです。池にはボラやハゼ、ウナギなどが棲み、岩にはカニやフジツボが見られ、冬にはキンクロハジロなどの渡り鳥がやってきます。
長い木橋「お伝い橋」を渡ると、中島の御茶屋に着きます。昭和58年(1983年)に再建された御茶屋で、水面を眺めながら抹茶と和菓子をいただけます。池の周りには、史料をもとに2010年から2018年にかけて復元された松の御茶屋、燕の御茶屋、鷹の御茶屋が並びます。六代将軍家宣が庭を大改修したときに植えられたと伝わる「三百年の松」も、低く大きく枝を広げています。
奥には花畑と、1778年と1791年に造られた二つの鴨場があります。土手と常緑樹、竹笹で囲まれ、エサとおとりのアヒルで鴨を細い引堀へ誘い込んだ当時の仕掛けが今も残っています。
- 土日祝には無料の庭園ガイドがあり、英語ガイドも土日と一部の月曜に行われます。夏の間は休止です。
- 木曜日には御茶屋の中を案内するガイドツアーがあります。建物に上がるので靴下を履いていきましょう。
- 日陰は少なめで、食事できる場所も御茶屋と売店くらいです。夏は飲み物と帽子を忘れずに。
浜離宮の一年
2月に梅が咲き、2月下旬から3月にかけては花畑が約30万本の菜の花で黄色に染まります。汐留のビル群を背にした景色はこの庭ならではです。春はその後、桜やフジ、ハナモモが続きます。
夏に花畑が植え替えられ、例年9月にキバナコスモス、10月にコスモスが見頃を迎え、晩秋にはモミジが色づきます。年末年始の休園が明けると1月2日から開園し、近年は1月3日に放鷹術の実演が行われています。秋のお月見など夜間の延長開園がある年もあり、発表されると下の一覧に載ります。
時間帯・入園券・マナー
開園時間は通常午前9時から午後5時(入園は午後4時30分まで)で、12月29日から1月1日は休園です。入園券は各入口の窓口とオンラインで買え、窓口では交通系ICカード、クレジットカード、コード決済が使えます。みどりの日(5月4日)と都民の日(10月1日)は無料公開日です。徒歩約15分の旧芝離宮恩賜庭園とあわせて入れる共通券もあります。
広さは約25ヘクタールあり、花畑の見頃の週末を除けば混雑はそれほどではありません。平日の朝は池の光がやわらかく、御茶屋も静かです。ペット連れの入園はできず、喫煙は決められた場所のみです。記念撮影は自由ですが、商用やモデル撮影には事前の申請が必要です。
アクセス・水上バス・周辺
入口は二つあります。大手門口は都営大江戸線の築地市場駅・汐留駅、ゆりかもめ汐留駅から徒歩約7分、新橋駅から徒歩約12分です。中の御門口は汐留駅から徒歩約5分、JR浜松町駅から徒歩約15分です。
いちばん楽しいのは水上バスで行く方法です。東京都観光汽船の浅草(吾妻橋)発の船が隅田川を下り、約35分で園内の発着場に着きます。便数は1日数本で、運賃には入園料が含まれています。浜離宮の発着場は下船専用なので、ここから浅草へ戻ったりお台場へ向かったりする船には乗れません。お台場へは汐留駅からゆりかもめが便利です。
大手門からは築地場外市場まで歩いてすぐで、朝ごはんや昼の海鮮にちょうどよい距離です。新橋を経て銀座へも歩けますし、浜松町駅のそばには小ぶりな江戸の庭園、旧芝離宮恩賜庭園があります。