新大久保はどんな街か
新大久保と呼ばれるのは、大久保通りと職安通りにはさまれた新宿区の大久保と百人町のあたりです。百人町の名は、江戸幕府がこの地に鉄砲組百人隊を住まわせたことに由来します。また江戸時代から昭和初期にかけて、大久保通りの周辺はつつじの名所で、見物用の臨時列車が走ったほどでした。新宿区の区の花がツツジなのはそのためです。
1990年代から韓国系の店が大久保通りから職安通りにかけて増え、2000年代の韓流ブームで一気に観光地になりました。最初はドラマ、次にK-POPと流行が移るにつれて客層も変わり、ドラマのころは中高年の女性が中心でしたが、今は10代から20代が多く、食べ歩きやコスメ、アイドルグッズを目当てに訪れます。ネパールやベトナム、インドなどアジア各国の店も韓国の店と軒を並べる、都内でも指折りの多国籍な街です。
通りを歩く:大久保通り、イケメン通り、イスラム横丁
駅前の大久保通りがメインストリートです。アイドルのポスター、コスメショップ、カフェが両側に並び、歩道が狭いので週末は一列になって歩くほどです。東へ進むと南側に何本も路地があり、韓国スーパーの韓国広場などがある広い職安通りへ抜けられます。なかでも有名なのがイケメン通りで、屋台やカフェ、コスメの店が細い道にぎっしり並んでいます。
駅のすぐそば、百人町2丁目側の路地は「イスラム横丁」と呼ばれています。ネパール、インド、バングラデシュ、パキスタンの人たちが営むハラル食材店が並び、日本のスーパーではあまり見かけないスパイスや米、肉、お菓子が手に入ります。小さな食堂や礼拝スペースもあります。観光地というより住む人の生活の場なので、買い物や食事を楽しみつつ、人を撮るのは控えめにしましょう。
駅から西へ約100メートルのところに皆中稲荷神社があります。射撃の腕が上がらなかった鉄砲組の与力の夢に稲荷大神が現れ、その後は百発百中になったという言い伝えから「皆中(みなあたる)の稲荷」と呼ばれるようになりました。今では絵馬にコンサートのチケット当選を願う言葉がたくさん並びます。秋季例大祭のころ(9月下旬)には2年に1度、鎧兜姿の行列が町を練り歩き火縄銃を試射する「鉄砲組百人隊行列」が行われ、新宿区の登録無形民俗文化財になっています。
- 混雑する日は大久保通りで左側を歩き、立ち止まって撮影や地図の確認をするときは脇道に入りましょう。
- 東新宿寄りの区画は駅前より落ち着いていて、店の顔ぶれはほぼ同じです。
何を食べるか
定番は韓国焼肉です。サムギョプサルの店では、厚切りの豚バラを店員さんがテーブルで焼いてハサミで切ってくれ、サンチュやエゴマの葉にニンニク、サムジャン、キムチと一緒に包んで食べます。テーブルには小皿のおかず(パンチャン)も並びます。焼肉以外では、タッカルビ、トッポッキ、チヂミ、スンドゥブチゲ、韓国式フライドチキン、屋台なら鉄板で焼く甘いホットクもおすすめです。
屋台グルメには流行の波があります。2010年代後半にはチーズタッカルビやチーズハットグに長い行列ができ、数年ごとに新しいスイーツが通りを席巻します。話題の店には1時間以上の行列ができる一方、一本裏の老舗ではすぐに座ってしっかり食事ができることも多いです。流行を追うより食事が目的なら、写真を撮る人より食べている人でいっぱいの店を選ぶのがコツです。
おみやげには、韓国スーパーのキムチやインスタントラーメン、コチュジャン、韓国のりのお菓子、冷凍餃子が手頃です。駅近くのハラル食材店ではスパイスや南アジアの食材が買えます。イスラム横丁周辺のネパール料理やインド料理の店も、韓国料理の合間の気分転換にぴったりです。
- 屋台用に現金を少し持っておきましょう。多くの店はカードや交通系ICが使えますが、すべての屋台ではありません。
- 買ったものは屋台の前やそばで食べましょう。ゴミ箱が少ないので、ゴミは持ち帰る心づもりで。
コスメとK-POPショップ
もうひとつの目玉が韓国コスメです。シートマスク、化粧水、日焼け止め、クッションファンデ、リップティントなどが、大久保通りやイケメン通りの大小さまざまな店に並びます。まとめ買いする前に2、3軒で比べ、ワゴンの値下げ品は使用期限を確認し、こだわりのブランドは公式店や正規取扱店で買うと安心です。
アイドルショップでは、アルバム、トレカ、ポスター、ペンライト、グッズが手に入ります。公式グッズを扱う店もあれば非公式のグッズを売る店もあり、売り場で区別がつかないこともあるので、高い値段を払う前にパッケージや店をよく確かめましょう。確実なのは公式ポップアップストアや事務所のショップです。駅周辺のカフェでは、ファンが主催するアイドルの誕生日イベント(センイル)も開かれ、ドリンクを頼むとカップホルダーやトレカがもらえます。詳しくはK-POPのガイドで紹介しています。
海外からの旅行者は、2026年11月1日から免税制度が変わる点に注意してください。店では消費税込みの価格で支払い、出国時に税関の確認を受けてから税金が戻るリファンド方式になります。写真ではなくパスポートの原本を持参し、レシートはまとめて保管しましょう。
混雑の時間帯とアクセス
混むのは土日祝と学校の休み(3月下旬、7月下旬から8月、12月下旬)で、ピークは午後です。駅は島式ホーム1面の小さな高架駅で、改札は2か所ありますがそのうち1か所は出口専用なので、電車が着くたびに階段と駅前の歩道が詰まります。歩きやすいのは平日の午前遅めの時間帯です。開店は昼前の店が多く、飲食店は夜までにぎわいます。
新大久保駅はJR山手線で新宿のひと駅北です。駅が混んでいるときは、JR中央・総武線各駅停車の大久保駅(西へ徒歩数分)や、都営大江戸線と東京メトロ副都心線の東新宿駅(職安通りの東端近く)を使うと便利です。職安通りの南側からは西武新宿駅もすぐです。
職安通りのすぐ南は歌舞伎町なので、夜はそのまま新宿へ歩いて行けます。大久保公園では週末を中心にフードフェスが開かれ、ゴールデン街や新宿の飲み屋街までは徒歩15分ほどです。新宿駅東口から新大久保までは歩いて20分ほどです。
- 混む週末は大久保駅か東新宿駅で降りて歩くと、新大久保駅の階段の行列を避けられます。
- 新宿へ流れるなら終電を確認しておきましょう。山手線の終電は深夜0時を少し過ぎたころです。