日本のクリニックでの受診の流れ
緊急でなければ、大病院ではなく「クリニック」や「医院」から始めるのが基本です。医師が一人から数人の小さな診療所で、看板の診療科を見れば何を診てもらえるかがわかります。風邪や発熱、おなかの不調は内科、耳や鼻やのどは耳鼻咽喉科、皮膚は皮膚科、骨や関節は整形外科、目は眼科、子どもは小児科、歯は歯科です。受付時間内なら予約なしで診るところもあれば、予約制や予約優先のところもあり、診療時間も曜日によって変わるので、事前に電話するか、ホテルに電話をお願いしましょう。
大病院は仕組みが違います。クリニックからの紹介状が前提で、2022年からは大学病院や200床以上の大きな地域の病院で、紹介状なしの初診に7,000円以上の特別料金が治療費とは別にかかります(救急車で運ばれた場合は対象外)。どのクリニックでも、受付で初診であることを伝え、パスポートと保険の情報を見せ、問診票に症状、既往歴、アレルギー、飲んでいる薬を書きます。診察が終わったら受付で支払い、領収書と、必要なら処方箋を受け取ります。
- パスポート、現金、ふだん飲んでいる薬のリスト(商品名だけでなく一般名も)を持って行きましょう。
- JNTOの体調不良時に役立つガイドには、書き込める症状シートと、症状から診療科を選べる表があります。
- 受付で「英語は大丈夫ですか」と聞いてみましょう。簡単な英語のメモを用意しておくのも役に立ちます。
日本の保険がない場合の費用
日本の公的医療保険は住民が対象で、旅行者は入れないため、医療費は全額自己負担です。旅行者の診療は保険診療の外にあるので、料金は医療機関ごとに自由に決められ、国の診療報酬より高く設定しているところもあります。風邪でクリニックにかかる程度なら負担は限られますが、検査や画像診断、入院、手術となると一気にふくらみます。JNTOは、自転車事故で19日入院して750万円、心筋梗塞で45日入院して1,000万円という実例を紹介しています。治療の前に、受付でおおよその金額を聞いておきましょう。
小さなクリニックは現金のみのことが多く、病院はたいていクレジットカードが使え、薬局の代金は別に払います。出発前に旅行保険に入っておく価値は大きいです。病院に直接支払うキャッシュレスの保険なら高額な立て替えをせずにすみ、後から請求する保険なら、領収書と明細書を保管し、保険会社に求められれば診断書(別料金)を出してもらいましょう。支払いは必ず出国前にすませてください。JNTOは、医療費を未払いのまま出国すると、次回以降の入国を拒否されることがあると注意しています。
- 手持ちのクレジットカードに海外旅行保険が付いていないか確かめ、保険会社の24時間窓口の番号を登録しておきましょう。
- 東京では救急車を呼ぶこと自体は無料です。病院での治療費はかかります。
- 軽い症状なら、ドラッグストアの薬剤師に市販薬を選んでもらう方法もあります。
自分の言語で診てもらえる医療機関の探し方
いちばん頼りになるのは、東京都の外国人向け医療情報サービス「ひまわり」(03-5285-8181)です。毎日(祝日も)9時から20時まで、英語、中国語、韓国語、タイ語、スペイン語で、その言語で受診できる医療機関を探し、日本の医療制度や費用の目安も説明してくれます。この時間外は、JNTOのJapan Visitor Hotline(050-3816-2787)が24時間、英語、中国語、韓国語で対応しています。
自分で探すなら、JNTOの医療機関検索が便利です。東京都を選び、対応言語(中国語やロシア語も選べます)、診療科、使えるクレジットカードで絞り込むと、近い順に表示されます。JMIPマークは外国人患者の受け入れ体制について認証を受けた医療機関の印です。NPOのAMDA国際医療情報センター(0120-339-266、03-6233-9266)は、どこにかかればよいかを電話で相談でき、予約すれば受診中に電話で通訳もしてくれます。平日の対応で、言語ごとに曜日が決まっています。都心には外国人コミュニティ向けのクリニックもあり、たとえば東京タワーの向かいの東京メディカル アンド サージカル クリニックは予約制で、公的保険の外で独自の料金を設定しています。
- 紹介を受けたあとでも、行く前にクリニックへ電話しましょう。言語の対応は、その日の担当医によって変わることがよくあります。
- 国のナビイでも、医療機関や薬局を多言語で検索できます。
- その日に自分の言語に対応する窓口がなければ、国際的なクリニックでは英語がいちばん確実です。
薬局、ドラッグストア、薬の持ち込み
処方箋は「薬局」(「処方せん受付」の表示が目印)で薬に替えます。日本の処方箋の有効期間は4日間なので、それまでに持って行きましょう。日本の薬局が受け付けるのは日本で発行された処方箋なので、ふだんの薬が切れたら日本の医師にかかり、薬のパッケージや母国の処方箋を見せて、日本で手に入る同等の薬を出してもらいます。マツモトキヨシやサンドラッグなどのドラッグストアでは、風邪、アレルギー、痛み、胃腸の市販薬が買え、薬剤師がいれば選ぶのを手伝ってくれます。薬剤師がいる時間しか買えない薬もあります。
薬を日本に持ち込むときは、荷造りの前にルールを確認しておきましょう。厚生労働省によると、自分で使う分なら、処方薬は1か月分まで、それ以外の薬は2か月分まで、手続きなしで持ち込めます。それを超える場合は「輸入確認証」が必要で、出発前に厚生労働省の医薬品等輸入確認情報システムからオンラインで申請します。麻薬や覚醒剤原料はさらに厳しく、コデイン、モルヒネ、オキシコドンを含む鎮痛薬、リスデキサンフェタミン(ビバンセ)、一部のプソイドエフェドリン入りの鼻炎薬は、麻薬取締部の事前の許可が必要で、申請は渡航の14日以上前までです。アデロールなどアンフェタミンを含む薬は、処方箋があっても持ち込めません。
- 薬は元のパッケージのまま機内持ち込みの手荷物に入れ、処方箋のコピーか医師の手紙を一緒に持ちましょう。
- ルールは商品名ではなく成分で決まります。規制成分を含む薬なら、旅行のかなり前に麻薬取締部の一覧を確認しましょう。
- 説明書が日本語だけなら、薬剤師に用量を薬袋に書いてもらうと安心です。
救急、夜間と休日
緊急のときは119番で救急車を呼びます。通報は無料で、東京の119番は英語、中国語、韓国語、ポルトガル語、スペイン語の通訳を交えて対応するので、つながるまで切らずに待ちましょう。「救急車をお願いします」と言って住所を伝えます。自分で電話できないときは、この言葉を近くの人に見せましょう。搬送先の病院は救急隊が決め、自分では選べません。東京都の救急車の呼び方のページに、通報の前に準備することがまとめてあります。
救急車を呼ぶべきか迷ったら、東京消防庁救急相談センターの#7119(または03-3212-2323)へ。医師、看護師、救急隊経験者が24時間対応し、すぐ受診すべきかどうかや、今開いている医療機関を教えてくれます。ただし日本語での対応なので、外国人の友人が困っているときは日本語ができる人が一緒に電話するとよいでしょう。ウェブの「東京版救急受診ガイド」には英語版のTokyo EMS Guideもあります。夜間や休日は、ひまわり(20時まで)とJapan Visitor Hotline(24時間)が受診先を案内してくれます。
- 119、#7119、03-5285-8181、050-3816-2787を今のうちにスマートフォンに登録しておきましょう。
- 宿泊先の名前と住所を日本語でスマートフォンに保存しておくと、119番やタクシーで役立ちます。
- 急がない症状なら、タクシーでクリニックへ。救急車は緊急のためのものです。