歌舞伎座で歌舞伎を観る
歌舞伎の本拠地は、松竹が運営する銀座の歌舞伎座です。2013年に建て替えられ、昔ながらの外観の後ろにオフィスタワーが建っています。東京メトロ日比谷線・都営浅草線の東銀座駅から地下で直結しています。多くの月は月の初めに新しい公演が始まり、数週間続きます。1日の公演は二部制か三部制で、各部は幕間を挟んで数時間。チケットは部ごとに買います。
一つの部には時代物、舞踊、世話物などが並び、長い物語の有名な場面だけを上演することも多いので、あらすじを先に読んでおくとぐっとわかりやすくなります。館内では解説を聞けるイヤホンガイドや、英語などの字幕を表示する小型端末を借りられます。チケットはチケットWeb松竹で買え、人気の月や人気俳優の出る部は早めに埋まります。
- 幕間のお弁当も観劇の楽しみです。館内で買って幕間に客席で食べられますが、上演中の飲食はできません。
- チケットがなくても、地下の木挽町広場のお土産店や屋上庭園には立ち寄れます。
幕見席と、ほかの歌舞伎の劇場
一つの部を通しで観るのが大変そうなら、4階の幕見席(一幕見席)がおすすめです。一幕だけを、通常よりずっと安い料金で観られます。演目は30分ほどの舞踊から1時間を超える芝居までさまざまです。近年は大部分の席が前日の正午からネットで販売され、残りの少数が当日に劇場で現金販売されています。舞台からは遠いのでオペラグラスがあると便利ですが、音や大向うの掛け声の臨場感は本物です。
歌舞伎座から歩いてすぐの新橋演舞場や、日本橋浜町の明治座でも、月によって歌舞伎が上演されます。半蔵門近くの国立劇場は、通し狂言や歌舞伎鑑賞教室でおなじみでしたが、2023年10月末に建て替えのため閉場し、再開場は2030年代になる見込みです。その間、国立劇場の歌舞伎公演は初台の新国立劇場などほかの劇場で続いているので、リストで会場を確かめてください。
- 幕見席を買う前に、その幕の上演時間を確認しましょう。短い舞踊も長い芝居もあります。
- 幕見席の客は4階のみで、幕ごとに入れ替えです。続けて観たい場合はそれぞれの幕の席を買います。
能・狂言と文楽
能は面をつけたシテが、地謡と笛・鼓の囃子とともに、檜の舞台で舞う古い芸能です。公演は2時間ほどのことが多く、能のあいだに、日常を題材にした短い喜劇の狂言が入ります。千駄ヶ谷駅から歩いてすぐの国立能楽堂は、各座席の背面に日本語と英語の字幕が出る小さな画面があり、入門にぴったりです。銀座のGINZA SIX地下には観世能楽堂、渋谷にはセルリアンタワー能楽堂があります。
文楽は人形浄瑠璃で、一体の人形を三人の人形遣いが操り、太夫の語りと三味線が物語を運びます。本拠地は大阪の国立文楽劇場で、東京公演は例年何度か行われます。国立劇場の閉場中は会場が公演ごとに変わるので、見逃さないようリストをチェックしてください。
- 能はゆったりした静かな芸能です。体を動かさず、携帯の電源は切っておきましょう。
- 能のチケットは各流儀や会が販売することも多いので、主催者のサイトも確認を。
落語と寄席
落語は、着物姿の噺家が座布団に座り、扇子と手ぬぐいだけで何人もの登場人物を演じ分ける話芸です。落語を気軽に聴けるのが寄席で、都内にはほぼ毎日興行している定席が四つあります。上野の鈴本演芸場、浅草六区の浅草演芸ホール、新宿三丁目駅近くで都内唯一の木造の寄席として残る新宿末廣亭、池袋駅近くの池袋演芸場です。国立演芸場は国立劇場とともに閉場しています。
寄席はいちばん気軽に入れる伝統芸能です。通常の興行は予約不要で、木戸で入場料を払えば好きな席に座れ、演目の合間なら途中入場や途中退場もできます。番組は上席・中席・下席と10日ごとに替わり、昼の部・夜の部ともに落語の合間に漫才、手品、太神楽、紙切りなどの色物が入ります。落語は日本語ですが、色物は言葉がわからなくても楽しめます。
英語の落語もあり、浅草では「大江戸英語落語」が不定期に開かれています。ほかにも英語や二か国語の落語会が小さな会場で開かれることがあり、決まり次第リストに載ります。
- 木戸銭は現金を用意しておくと安心です。
- その日の最後に上がるトリが主役なので、終盤の時間帯はとくに見ごたえがあります。
マナーと実用的なコツ
どの劇場にもドレスコードはありません。初日などに着物で来る人もいますが、普段着で大丈夫です。携帯はマナーモードではなく電源を切り、舞台の写真や動画は撮らないのが決まりです。歌舞伎では、見せ場で常連が「成田屋」などの屋号を掛ける大向うが聞こえますが、伝統ある習慣なので、初めてのうちは聞くだけにしておきましょう。舞台上の黒衣は「見えないもの」として扱うのが約束事です。
人気俳優の出る歌舞伎や正月の公演は売り切れますが、寄席や多くの能の公演はあまり売り切れません。昼の公演が多いので、雨の日の予定にも向いています。座席の間隔が狭いので、大きな荷物は駅のコインロッカーへ。