データ専用か、日本の電話番号付きか
旅行者向けのeSIMやSIMカードは、ほぼすべてがデータ専用です。高速通信は使えますが日本の電話番号はないため、通常の通話や日本の番号でのSMS受信はできません。地図、翻訳、LINE、WhatsApp、配車アプリ、ホテル予約ならこれで十分で、ほとんどの旅行者に向いているのはこのタイプです。
番号が必要になる場面は限られています。e+、チケットぴあ、ローチケなど日本のチケットサイトはSMSで本人確認をすることが多く、070・080・090で始まる日本の携帯番号がもっとも確実で、海外の番号や050番号は受け付けられないこともよくあります。日本の番号と通話・SMSが付いた旅行者向けプランを扱う専門業者もありますが、料金は高めでパスポートによる本人確認が必要です。必要だとわかっている場合だけ選びましょう。
最近のスマートフォンの多くは2回線を同時に使えるので、これで解決することも多いです。母国のSIMは通話、銀行の認証コード、家族からのメッセージ用に入れたままにし、データ通信はeSIMで。母国回線のデータローミングはオフにしておくと余計な請求を防げます。日本在住なら在留カードで通常の契約をするのが基本で、2026年4月からは電話番号付き回線のオンライン契約で本人確認書類のICチップ読み取りが原則必須になっています。
- プラン名で「データ専用」か「通話・SMS付き」かを確認。無制限プランも1日の上限を超えると速度制限がかかることが多いので、公平利用の条件を読んでおきましょう。
- データ専用回線には番号がありません。レストランやホテルへの電話は、母国回線のローミングかネット通話アプリで。
- 日本のサイトでライブのチケットを買う予定なら、SMSの受け取り方を出発前に決めておきましょう。
eSIMは端末を確認し、出発前に設定
旅行用eSIMが使えるかどうかは二つの条件で決まります。端末がeSIMに対応していること、そしてSIMロックがかかっていないことです。iPhone XS、XR以降はeSIMに対応し、最近のPixelやGalaxyの多くも対応しています。主な例外は中国本土で販売された端末で、Appleによると中国本土でeSIMに対応するのは一部の新しいiPhoneのみ、香港・マカオ向けの一部モデルはnanoSIMを2枚挿す仕様です。iPhoneなら「設定」→「一般」→「情報」の「SIMロック」が「SIMロックなし」と表示されればロック解除済みで、「モバイル通信」に「eSIMを追加」があればeSIM対応です。
eSIMはオンラインで購入し、出発の1〜2日前に自宅のWi-Fi環境でQRコードか販売元のアプリからインストールしておきます。到着まではオフのままで構いません。日本に着いたらeSIM回線をオンにしてモバイルデータ通信に使う回線に設定し、その回線のデータローミングを許可します(旅行用eSIMはローミング扱いで接続するのが普通です)。日数のカウントはインストール時ではなく日本で初めて接続した時点から始まるプランが多いものの、条件は各プランで確認してください。
- 旅行中にeSIMを削除しないこと。一度しかインストールできないものが多いです。
- 設定情報と販売元のサポート連絡先は、出発前にスクリーンショットしておくと安心です。
- 販売ページには利用する国内回線が書かれているのが普通です。ドコモ、au(KDDI)、ソフトバンクならどれも都内は十分つながります。
ポケットWi-Fiが向いている人
ポケットWi-Fiは、複数のスマホやノートPCをつなげる小型のバッテリー式ルーターです。家族やグループで1台を共有する場合、SIMロック付きやeSIM非対応の端末の場合、ノートPCで一日中作業する場合に向いています。弱点は、充電する機器が一つ増えること(多くは8〜10時間ほど持ちます)、共有するには一緒に行動する必要があること、紛失すると費用がかかることです。
出発前にオンラインで予約し、受け取り場所を選びます。成田空港は全ターミナルにレンタル・SIMのカウンターがあり、羽田空港では国際線の多くが発着する第3ターミナルの2階到着ロビーにカウンターがあり、24時間受け取れる無人サービスを設けている店舗もあります。ホテルへ配送してくれる会社も多いです。返却は空港カウンターか、付属の返信用封筒でポストに投函する方法が一般的です。
- 朝から夜まで出歩く日はモバイルバッテリーを持っていきましょう。
- 受け取りの際に、返却の方法と期限をその場で確認しておきましょう。
- 羽田空港の第1・第2ターミナルには、プリペイドのデータSIMを売る自動販売機もあります。
無料Wi-Fiとローミング、どこまで頼れるか
東京の無料Wi-Fiは、空港、大きな駅、百貨店、チェーンのカフェ、ホテルではよく使えますが、路上や電車内では弱く、何度もログインし直す必要があります。旅行者が頼りにしていた場所でも減っていて、セブン-イレブンとファミリーマートは2022年に店内の無料Wi-Fiを終了し、東京メトロの駅の無料Wi-Fiも設備更新のため現在は休止中です。東京都の「TOKYO FREE Wi-Fi」は数百か所の公共施設でOpenRoaming対応への切り替えが進んでいて、一度登録すれば自動でつながります。いずれも予備と考え、道案内の頼みの綱にはしないのが無難です。
母国の通信会社のローミングは設定いらずで番号もそのまま使え、日本向けの1日単位のプランを用意している会社も多いです。短い出張ならこれがいちばん楽なこともあります。1週間以上なら旅行用eSIMのほうがずっと安くなることが多いので、日本での1日料金に日数を掛けて比べてから決めましょう。
- 接続前にネットワーク名(SSID)を確認し、暗号化されていないネットワークでのネットバンキングは避けましょう。
- データ通信がすぐ始まらない場合に備えて、出発前に東京のオフライン地図をダウンロードしておくと安心です。
費用の目安と変わるルール
2026年時点のおおよその目安です。大手のオンライン販売で無制限データの旅行用eSIMは1週間で数千円(最大手の一つでは4,000〜5,000円ほど)、容量が決まったプランはそれより安くなります。ポケットWi-Fiのレンタルは1日数百円からで、大手の無制限ルーターは1日5ドル前後が多く、補償やモバイルバッテリー、配送は別料金です。日本の番号付きの旅行者向けプランはもっとも高く、初期費用がかかることもあります。ローミングの料金は通信会社しだいです。
総務省によると、携帯電話の本人確認ルールは厳しくなっています。2026年4月から、音声回線のオンライン契約ではICチップの読み取りが原則必須です。2027年4月以降はデータ通信専用のSIMやeSIMの契約も本人確認の対象になり、観光や出張でデータSIMを使う短期滞在の外国人も対象になる場合があるとされています。購入時にパスポートの確認手続きがあると考え、サポートのしっかりした販売元から買うのがおすすめです。
- 日程分のeSIM料金と、通信会社の1日料金×日数を比べてみましょう。
- 人数も計算に入れましょう。4人で1台のルーターのほうが、eSIM4回線より安いこともあります。