GOLEM(ゴーレム)展
金曜日, 8月 14, 2026
SAIでは、ゲーム、アニメ、フィギュア文化など大衆文化に育まれた造形言語を美術として再考するアーティスト・コレクティブによる展示「GOLEM」を、8月14日(金)から8月30日(日)まで開催します。GOLEM代表・石野平四郎の企画により、彫刻家、コンセプトデザイナー、原型師、3DCGアーティストなど異なる分野で活躍する8名の作家が集結します。
「GOLEM」は展覧会シリーズであると同時に、アーティストのコミュニティであり、ムーブメントでもあります。2022年の3331 Arts Chiyodaでの初開催以降、「GOLEM Ph1.5」「GOLEM Ph2.」を経て活動を続けてきました。参加作家の多くはゲームや映画、ワンダーフェスティバルに代表されるフィギュア文化の最前線で技術を磨いてきた彫刻家たちです。家庭用ゲーム、トレーディングカード、特撮、アニメといった視覚文化の中で生み出され、流通してきた怪異で異質なイメージは、世代的な身体の記憶として作家たちの手を通じて、既存の彫刻の言葉でも語りきれない圧倒的な精度と質量をもった存在として現れます。
「GOLEM」という名前はユダヤの伝承に登場する粘土の人形に由来しています。額に“真実”の意味を持つ「אמת」と刻まれると命を吹き込まれ、最初の文字を消すと“死”となり崩壊する、不完全さと崩壊の可能性を常に孕む存在です。さまざまな素材や技法を横断し、永続性を前提とするか否かを超えて、生や保存性の賛歌ではなく、壊れやすさを抱えながらも生命を離さない物質そのもの、生気なきものが持つ生命力への問いかけこそが作家たち共通の姿勢です。応えない物質をいつか応えるかもしれない他者として扱い、ひたすら細部を彫り続ける——その行為がGOLEMの根幹をなしています。
今展「GOLEM」は、これまでの活動成果と課題を確認し、キュレーションのあり方や展示構成、発信方法を見つめ直す転機となるものです。単に造形表現を現代美術の文脈に接続するのではなく、「イラストレーション」や「ゲーム」が独立したジャンルとして成立したように、立体造形を起点とした新たな美術表現の可能性を探ります。AI技術の急速な進歩が創造の意義そのものを問い直す今、身体性や物質性、思考を武器に、創造の起源と真正面から向き合う場となります。
会期中には、布施琳太郎による本展向け書き下ろしの評論を収録した図録を発行予定。この評論はカタログを手に取ることでしか読めない、GOLEM運動への批評的応答としての一つの作品となります。効率や最適化とは異なる時間の中で生み出された生成物、今はまだ命を持たぬものがいつか何かを返すかもしれない——GOLEMは造形実践を通じ、その問いを投げかけ続けます。ぜひ、誕生の瞬間に立ち会ってください。
コメント 0
ログイン してコメントを投稿できます。